ドクターズガイド

大内憲明 医師 (おおうちのりあき)

大内憲明 (おおうちのりあき) 医師

登米市立登米市民病院(宮城県)
事業管理者 乳腺外科
東北大学客員教授・名誉教授

専門

乳がん、腫瘍学、分子生物学、がん疫学

医師の紹介

日本のみならず国際的なリーダーとして乳がん克服に尽力する大内憲明医師。厚生労働省による国家的プロジェクト「超音波検査の有効性を検証する比較試験(J-START)」では責任者を務め、女性の命を乳がんから救うことをめざしている。厚生労働省「がん検診の在り方検討会」座長や、市民向けの乳がんに関する公開講座コーディネーターを務めるなど、乳がん検診の受診率を高める啓発活動も活発に行う。2012年度から3年間、東北大学医学部長として、最新の専門知識を備えた医師、研究者の養成に携わっている。2001年には日本へのマンモグラフィ導入実績を高く評価され第1回朝日がん大賞を受賞した。

診療内容

日本では乳がんにかかる女性が年々増加しており、現在では年間約6万人もの女性がかかると推定されている。しこりなどの自覚症状があって受診して初めて乳がんと診断される人が大半だが、自分で気づくほどのしこりがあれば、その時点ですでに転移しているケースも少なくない。
大内医師によると、症状に気づかない段階でこそ発見することが大切だという。「乳がんは40代の発症が多く、社会でも家庭でも最も頼りにされる年代の女性を乳がんから救うための対策が必要です。しかし、世界標準とされるマンモグラフィ検査(乳房エックス線検査)の受診率は日本ではきわめて低く、20%程度にとどまるのが現状です。ピンクリボン運動がようやく全国に普及してきましたが、もっと広める必要があります」無症状の時こそ、乳がん検診を受けることが必要という訳だ。
「21世紀は“乳がんになっても乳房を残すのが当たり前”と云われる時代」と大内医師が語るように、東北大学病院では乳がん治療において乳房を残す「乳房温存療法」を全国に先駆けて導入し、優れた成績を挙げた。最近の乳房温存療法の実施率は約80%とされる。一方、進行して発見された場合や再発した場合には病状に応じて化学療法(抗がん剤)、内分泌療法、放射線治療を組み合せて治療効果を高めているという。さらに新たな取組みとして、がん遺伝子を標的とする分子標的治療と抗がん剤を組み合せた治療法を開発し、全国に展開している。しかし、検診の受診率が低いため治療には限界があると大内医師は話す。大内医師は検診の重要性を指摘すると同時に、検診技術の研究にも積極的に取り組んできた。「がん検診において大切なことは、新しい技術を前向きに評価していくことです。そのためには皆さんの協力が欠かせません。臨床研究を含めてがん検診の有効性をまとめる必要があると考えています」(大内医師)
こうした考えから、大内医師は厚生労働省による国家的がん対策プロジェクト「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験」(J-START ジェイ・スタート)において責任者を務めている。これは超音波検査とマンモグラフィを併用する検診と、マンモグラフィのみの検診を比較し、超音波検査が有効かどうかを検証するプロジェクト。40歳代の女性でこの試験に賛同する約8万人を対象に行われた。「乳がん検診に超音波検査を併用して死亡率が下がるかどうか。これが判明するにはおそらく数十年かかるものと思われます。検診を受ける時点ではわからなくても、その結果は確実に若い世代に受け継がれていきます。J-STARTの中間結果は2015年に国際的ジャーナル「The Lancet」に掲載され、日本のみならず世界の乳がん検診のあり方に大きなインパクトを与えている。
「乳がんはがん対策の要」と大内医師は語る。他人事ではなく、自分のこととして2年に1度は検診を受けることは今や必須とも言える。さらには未来の女性たちのために、乳がん克服にむけた検査・治療技術の進化に期待したい。

診療を受けるには

大内医師の診療は、月曜の午前・午後、火曜の午前。

医師のプロフィール

経歴
1978年3月 東北大学 医学部 卒業
1984年 米国・国立がん研究所・研究員(フェロー)
1995年 東北大学講師
1999年 東北大学大学院・医学系研究科教授
2012年 東北大学大学院医学系研究科長・医学部長
2015年 東北大学リサーチプロフェッサー
2017年4月 東北大学客員教授・名誉教授 登米市病院事業管理者に就任
所属学会・認定・資格

日本外科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本内分泌外科学会、日本がん検診・診断学会、日米ナノメディシン協議会、日本外科系連合学会
2011年日本乳癌学会学術総会会長(東日本大震災後の仙台での開催につき観光庁より感謝状授与)

予防に心がけたいこと

女性のがんの中で最も多いのが乳がんで、特に40歳代で発症する人が急増している。乳がんにならないことが実現できればよいが、女性の社会進出や少子化の現状からすると不可能に近い。そうなると大切なのは早期発見である。女性の15人に1人が乳がんになると言われるほど身近な病気なので、2年に1回は検診を受けて早期発見に努めたい。

費用のめやす

紹介状がなくとも受診は可能だが、その場合、初診時に非紹介患者初診加算料金として1,080円を負担することとなる。