ドクターズガイド

坂井信幸 医師 (さかいのぶゆき)

坂井信幸 (さかいのぶゆき) 医師

神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院(兵庫県)
脳神経外科
部長

専門

脳神経外科、特に脳卒中、脳動脈瘤

医師の紹介

日本でもトップレベルの臨床経験を持つ脳神経外科のプロフェッショナル。脳動脈瘤に対するステント治療は、坂井信幸医師らが日本で初めて取り入れ、誰よりも多くの経験を積んでいる。これまでに7,000例以上の脳血管内治療を手がけ、そのスピード・正確性・安定性はずば抜けている。その手技を求めて全国から治療困難な患者が集まってくるのはもちろん、技術を習得しようと医師も数多く見学に訪れる。一般向けに優しい言葉で脳卒中の正しい知識を伝える講演活動なども積極的に行っている。

坂井医師は、より良い治療方法を選択し、納得して治療を受けるための判断材料としてもらうために、現在の病状や治療内容、今後の治療方針などについてのセカンドオピニオンを行っている。(注:ただし、当院患者は、対象外となる)

診療内容

脳卒中の「卒中」とは卒=突然、中=当たる、で脳が突然病気になってしまうことを指す。この病気は血管の病気であり、多いのは血管が破れるか詰まるかしてしまうもの。坂井医師によれば、脳というのは、とても大飯食らいなのだそうだ。
「脳には体全体の5分の1の酸素とブドウ糖が流れています。他の部位にくらべて栄養が必要なのです。ですから、血管が詰まって栄養がいかなくなると、突然機能がダメになってしまうのです。脳卒中の中で、一番多いのがこの血管が詰まる脳梗塞で、全体の70%ぐらいです。対して脳出血は17%、くも膜下出血は6%ほどです」
坂井医師よれば、長い間生きて行くうちに血管というのは次第に傷んでくる。高齢化社会を迎えて血管の病気が増え、脳卒中患者も増えているという。その中でも多いという脳梗塞。血管が詰まるとどうなるのか「一気にすべての機能がシャットダウンするのではなく、詰まった部分の機能がダメになっていくのです。それも時間とともに失われていきます。逆に考えれば、処置が早ければ早いほど元通りに戻すチャンスがあるということです」(坂井医師)
そこで同院では急性期脳血管障害(脳卒中)の治療に積極的に取り組んできた。坂井医師が語るように、脳血管障害は初期治療が的確におこなわれるかどうかにより、その予後が大きく左右される。脳卒中診療の充実を図るため、同院では2002年にStroke Care Unit(SCU)が設置され、同時に当番医による脳卒中ホットライン(078-302-8030)を開始した。これにより救急隊や初期診療所・病院から、発症早期の脳卒中患者の診療や治療依頼を迅速に受け入れられるようになり、着々と成果をあげているという。
また2004年1月には、MRIの24時間対応を開始。脳卒中センターを開設し、その実績と治療レベルから国内有数の脳卒中センターとして評価されている。また、脳血管内治療にも積極的に取り組んでおり、急性期ばかりでなく慢性期脳血管障害の治療成績の向上もはかられている。
たとえば脳の血管にコブのような弱い部分ができてしまう脳動脈瘤の治療をする場合、一般的には開頭手術が必要で、金属製のクリップを使い動脈瘤の付け根部分を挟みコブへの血流を遮断し破裂を防ぐ。しかし、開頭手術のため患者への負担は大きい。そこで、坂井医師は金属を管状に編んで伸縮性をもたせたステントを使う。カテーテルを通して脳動脈瘤の付け根付近に送り込み血管を補強するのだ。
その上でプラチナ製のコイルを送りこむことで、付け根部分が通常より大きなコブでも、コイルが外れることなく安定させられるようになった。このステントを用いたコイル塞栓術は坂井医師らが日本で初めて取り入れたもの。専門的な技術習得が必要なため、限られた医師しかできない治療法である。
そんなすごい技術を持つ坂井医師だが、一般向けの講演などでこう語りかける。「脳卒中にならないのが一番です。でも、もしなってしまった場合は急性期医療で完全回復をめざしましょう。それがダメで仮に症状が残ってしまったとしても、リハビリをやって少しずつでも不自由なく生活できるように頑張りましょう。でも一番の願いは、みなさんが僕の世話にならないことです。どうか予防につとめてください」

診療を受けるには

坂井医師の外来を初診で受診するには、かかりつけ医療機関からFAXにて予約が必要。予約がない場合でも、紹介状や資料を持参すれば、できる限り対応するようにしている。患者数が多すぎて受診できない場合があるため、できるだけ予約を取るのが望ましい。
初診時の待ち時間は平均で1~2時間程度。医師の指名は、できる限り希望の診察医が対応するが、専門領域が異なる場合はその限りではない。坂井医師の手術・治療を希望する場合、平均1ヶ月程度、待機期間がある。

累積症例数または患者数

脳血管内治療 8,000件、脳動脈瘤塞栓術 2,800件、脳動静脈奇形塞栓術 370件、頚動脈ステント留置術 1,400件

年間症例数

2016年の脳血管内治療は200件。うち脳動脈瘤塞栓術 150件。他に開頭クリッピング50件。

医師のプロフィール

経歴
1984年3月 関西医科大学医学部 卒業
1989年9月 関西医科大学助手(脳神経外科)
1991年12月 米国カリフォルニア大学ロスアンゼルス校研究員
1996年1月 京都大学医学部附属病院医員(脳神経外科)
1997年4月 京都大学医学部助手(脳神経外科)
1998年1月 国立循環器病センター(脳神経外科)
2000年4月 国立循環器病センター医長(脳神経外科)
2001年4月 神戸市立中央市民病院医長(脳神経外科)
2003年10月 先端医療センター部長(脳血管内治療科、兼務)
2005年4月 神戸市立医療センター中央市民病院部長(脳神経外科)
2011年4月 京都大学医学部臨床教授(脳神経外科、兼務)
2014年4月 兵庫医科大学特別招聘教授(脳神経外科、兼務)
所属学会・認定・資格

日本脳神経外科学会(専門医・評議員・代議員)、日本脳神経外科コングレス、日本脳卒中学会(専門医・理事)、日本血管内治療学会(理事)、日本脳卒中の外科学会(理事)、日本脳循環代謝学会(幹事・評議員)、日本脳神経血管内治療学会(指導医・理事長・2006-2007年会長)、日本心血管脳卒中学会(庶務会計幹事、2005-2006年会長)、日本脳神経外科救急学会(幹事・評議員)、日本栓子検出と機器学会(理事・2015-2016年会長)、日本脈管学会(専門医・評議員)、日本医療安全学会(評議員)、日本脳神経外科手術機器学会(運営委員)、脳血管内治療技術機器研究会(代表幹事)、Japan Endovascular Treatment Conference(世話人) 、日本Medical Stent & Graft研究会(世話人)、World Federation of Interventional and Therapeautic Neuroradiology(Senior Member)など

予防に心がけたいこと

まず、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などの生活習慣病と呼ばれる疾患にかかっている場合は、生活習慣を改善し、必要であれば医師の治療を受けて血管に負担のかからないようにする。また、十分な睡眠をとり、適度な運動をするなど、ストレスがたまりにくい生活を送ることも大切。