ドクターズガイド

卜部貴夫 医師 (うらべたかお)

卜部貴夫 (うらべたかお) 医師

順天堂大学医学部附属浦安病院(千葉県)
院長補佐 脳神経内科
教授 脳神経・脳卒中センター長

専門

脳卒中(脳梗塞、脳出血)、一過性脳虚血発作、動脈硬化性脳血管疾患、脳卒中の急性期治療と再発予防、神経超音波検査、脳卒中リスク評価とマネジメント、神経内科全般(パーキンソン病や認知症など)、神経科学

医師の紹介

順天堂医院にて脳血管障害の診療チームをつくり上げ、超急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法を積極的におこなってきた卜部貴夫医師だったが、2011年4月より同院へ異動。最新の医療を迅速かつ安全に提供することをモットーに診療をおこなっている。2012年4月1日には「脳神経・脳卒中センター」が開設となり、センター長に就任。2013年4月から地域消防との脳卒中ホットラインを開設し、超急性期脳梗塞に対するrt-PA静注による血栓溶解療法の件数を伸ばすとともに、急性期機械的血栓回収術による血管内治療も積極的に実施している。
2018年4月からはストロークケアユニット(SCU)の運用を開始し、千葉県での脳卒中基幹病院として地域に根ざした集学的脳卒中診療を目指す。脳神経・脳卒中センターでは、パーキンソン病や認知症も積極的に診ている。

診療内容

「脳卒中は死亡率こそ第4位ではあるものの、日本人の寝たきりになってしまう原因疾患としては第1位であり、近年圧迫しつづける医療経済の負担を軽減させるためにも、克服しなければならない重要な疾病であることは間違いありません」(卜部医師)
日々、脳卒中患者と向き合い、診療している卜部医師は脳卒中という病気の持つ特性から、医療体制を整えることの重要性のみならず、個人レベルでこの病気に対する正しい認識を持つことの大切さを語る。
「このような社会的背景から、私の受け持つ脳神経内科診療の役割は、脳卒中を適切に予防・診断・治療することだと考えております。そして質の高い神経疾患診療を実現するためにはチーム医療が重要です。そのため、関連各診療科との連携のもと、脳梗塞超急性期に対する血栓溶解療法(rt-PA 静注療法)を積極的におこなっております。特に2013年の脳卒中ホットライ導入後は、毎年20件以上のrt-PA療法を行っています」(卜部医師)
脳卒中は脳の血管内に血液の塊が詰まって、脳組織に血液を供給できなくなり発症する脳梗塞と、脳の血管が破れて生じる脳出血やくも膜下出血に分かれると卜部医師は言う。脳神経内科では主に脳梗塞の治療を担当しているが、血栓が詰まった部位によりさまざまな症状があらわれるそうだ。
「たとえば、ろれつが回らない、うまく話せないといった言葉の障害があります。あるいは右半身や左半身など、一側の上下肢のマヒ、顔面や一側上下肢のしびれ、および感覚の鈍さなどがあらわれることもあります。一般的には突然これらの症状が出現し、症例によっては意識障害を合併することがあります」(卜部医師)
そうした状況に有効なのが、血栓溶解療法だという。
「症状があらわれてから4.5時間以内に治療を開始することができ、治療適応の条件を満たした場合には、血栓溶解療法という治療法を選択することが可能です。これは詰まった血栓を直接溶かすt-PA製剤という薬を使用するものですが、発症から4.5時間以内であればとても有用です。ですから、もしさきほど言ったような症状があらわれた場合には、できる限り早く救急車を要請するか、病院へ駆け込むことが大切です」(卜部医師)
また、この病気の治療にはチーム医療が重要だと考える卜部医師は、各科との連携を強化して診療にあたっている。
「脳梗塞の急性期からリハビリテーション科とも連携をおこない、急性期リハビリテーションを積極的に実施しています。また急性期以降もリハビリが必要な患者さんに関しては回復期リハビリ病院と連携を取り、リハビリを継続しておこなっていただくように支援しております。急性期やリハビリだけではなく、外来診療における地区医師会のかかりつけ医の先生方と病診連携をさらに推進し、順天堂大学が地域の中核病院としての役割を果たしていくことができるよう、協力体制をしっかりととっていきたいと思います」(卜部医師)
また予防や検診を受けることも重要だと卜部医師は語る。同院では動脈硬化などの評価に有用な頸動脈エコー検査や、原因不明の脳梗塞や若年性脳梗塞の原因検索に有用な経食道心エコー検査を積極的に実施しているという。
「初診で拝見した後の検査・治療になりますが、そこで、脳血管内治療が適応になる場合は、外来で検査後に入院治療するのか、あるいは入院して検査を進めてから治療をおこなうかなど、治療は患者さんと相談のうえで進めていきます」(卜部医師)
すべては脳卒中という病気で苦しむ患者をなくすため、そして医療経済の負担を少なくして日本を元気にするため、卜部医師の地道な努力は続く。

2018年4月からストロークケアユニット(SCU)6床の運用を開始。
脳卒中(SCU)ケアユニットとは、医師・看護師・リハビリ・ソーシャルワーカーなどの多職種で構成される脳卒中専門チームで、脳卒中急性期の患者さんを診療する。

脳梗塞について 詳しくは【⇒ドクターズインタビューを読む⇒】

診療を受けるには

月曜の午前中に初診外来をおこなっており、受診するには紹介元の医療機関から医療連携室経由で予約が必要。その際、紹介状も必要となる。卜部医師を指名の場合、卜部医師宛の紹介状を持参。初診時の待ち時間は、その日の状況により異なるが、おおむね30分。

累積症例数または患者数

1990年神経学会専門医を取得して以来、脳卒中を含む全ての神経疾患の累積外来患者数は約50,000人。累積入院受け持ち患者は約6,000人。

年間症例数

年間約4,500人の脳卒中を含むすべての神経疾患患者の外来診療をおこなっている。脳神経疾患すべての年間総入院患者は約700人で、そのうち3割が脳卒中。

医師のプロフィール

経歴
1986年3月 順天堂大学医学部 卒業
1989年11月 順天堂大学医学部神経学講座 助手
1995年3月 順天堂大学大学院 医学研究科卒業 医学博士の学位取得
1995年4月 東京都立荏原病院 神経内科勤務 
1996年4月 順天堂大学医学部神経学講座 助手
2004年2月 順天堂大学医学部神経学講座 講師
2006年11月 順天堂大学医学部神経学講座 助教授
2007年4月 順天堂大学医学部神経学講座 先任准教授
2011年4月 順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経内科 先任准教授
2011年7月 順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経内科 科長補佐
2011年12月 順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経内科 教授
2012年4月 順天堂大学医学部附属浦安病院 脳神経・脳卒中センター長 併任
2018年4月 順天堂大学医学部附属浦安病院 院長補佐
所属学会・認定・資格

日本神経学会(専門医、指導医、代議員)、日本内科学会(総合内科専門医)、日本脳卒中学会(専門医、理事)、日本脳循環代謝学会(幹事)、日本脳神経超音波学会(理事)、日本栓子検出と治療学会(理事)、日本リハビリテーション学会、日本再生医療学会、日本神経治療学会、American Heart Association (AHA) / American Stroke Association (ASA) (Premium Professional Member)、International Society for Cerebral Blood Flow & Metabolism (Member)、 World Stroke Organization (Member)など

予防に心がけたいこと

高血圧、糖尿病、脂質異常症は、脳梗塞の再発の3大リスクとなるため、そうならないためにも食生活には十分な配慮が必要。血圧が高めの人は減塩につとめ、糖尿病の人は食事指導に従ってカロリーをコントロールする。脂質異常症の予防には動物性脂肪や甘いものをなるべくとらないようにし、青魚や野菜を中心にした食事を心がける。さらに注意すべきは炭水化物の摂取量で、ご飯やパン、麺類などの炭水化物の過剰摂取は、血糖値の急上昇を招きやすいため、食べ過ぎには注意したい。
運動に関しては、その人の状態により無理しない範囲で適度な運動をすることが大切。歩行ができる状態であれば毎日40分以上の散歩を続け、マヒが残っている場合はケガをしない範囲で家の中でもなるべく体を動かすような工夫をすることが大切。

費用のめやす

治療は通常の保険診療でおこなわれる。