ドクターズガイド

伊藤 隆 医師 (いとうたかし)

伊藤 隆 (いとうたかし) 医師

東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック(東京都)7病院のクチコミ
東洋医学研究所
教授・所長

専門

和漢診療学、呼吸器内科、心療内科

医師の紹介

伊藤隆医師は日本を代表する漢方家の一人。日本東洋医学会では『日本東洋医学雑誌』の編集長・編集担当理事を務め、現在常務理事を担当している。常に最新の東洋医学に接し、取り入れられる環境をもつ。「西洋医学の土台の上でこそ、東洋医学が力を発揮する」という考えのもと、時代に先駆けた幅広い医療ニーズに応えている。労働者健康福祉機構 鹿島労災病院へは和漢診療センター設立時に入職し、現在も非常勤医師として内科・漢方外来を担当している。筑波大学、千葉科学大学非常勤講師兼任。2014年より東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック教授。2015年同所長。

診療内容

漢方内科で、西洋医学では診断のつきにくい症状を日々診断する伊藤医師。
治療は漢方薬が中心ではあるが「東洋医学は西洋医学の土台のもとにこそ力を発揮する」という信念をもっており、病気によっては検査を行い、必要があれば西洋薬も処方する。症状次第では鍼灸の併用や、現代医学をすすめるケースもあるなど、柔軟で広い視野に立った診断と治療により、患者からの信頼を築いている。そして「冷え症」とは漢方が最も得意とする病態。西洋医学では明らかな血管障害がない限り、冷えに対する良い治療手段がないという。
冷え症の解消には「温めること」が基本だが、必ずしも薬を使うわけではない。
「現代人は体調が悪いと、すぐ薬に走る傾向があります。鼻水が出る程度で風邪だと思い込み、薬局で薬を買い求めたり、適当な薬がないと、得てしてサプリメントに走ります。しかし、人間の体はそのようなものがなくても、十分機能できるようにつくられています。漢方医学を学習していると、我々がいつからか、生活のなかで培ってきた健康の知恵を失っていることに気づかされます。冷え症は医療というより、飲食や運動など、生活の知恵で相当程度まで改善し得る症状です。それでも改善しない場合には、漢方薬の出番です」(伊藤医師)
冷え症を改善する生活の知恵や習慣については『予防としてこころがけたいこと』の項を参照いただきたい。なお、冷え性の解消のための「血を巡らせる漢方薬」として一般的なのは「桂枝茯苓丸」である。これは「桂皮(ケイヒ)」「芍薬(シャクヤク)」「牡丹皮(ボタンピ)」「桃仁(トウニン)」「茯苓(ブクリョウ)の五味から構成されたもの。
「桂皮」は気の上衝を鎮める主薬。血流量を増加させることで、冷えを温めてくれる。
「芍薬」「牡丹皮」「桃仁」はいずれも「ば血」を治療する生薬。芍薬は平滑筋の筋緊張を緩めて痛みを抑えてくれるため、冷え・生理痛・腰痛・手足の種々の痛み・しびれに対して有効である。牡丹皮には炎症を抑えて免疫を賦活する作用のほか、血液をサラサラにする作用が。桃仁は炎症を抑えて痛みを鎮めるほか、便通を促進する作用もある。
「茯苓」には利水作用があり、むくみに良いとされるほか、鎮静作用もある。
桂枝狭苓丸を服用すると赤血球同士の集合状態が散り、全体としてスムーズに血液が流れることが観察できるという。さらに冷え性だけでなく、脳血管障害後遺症の改善にも寄与することが証明されているのだそうだ。なお、伊藤医師による初診時には問診票記入のほか心理機能検査を行う場合もあり(強制ではない)、適切な処方を検討するために脈診と腹診を必ず行う。そのため、最低でも30分は診察にかかるという。再診時には通常の診断のほか、薬の副作用をチェックするために体重・むくみ・血圧、ときには採血検査も行う。また、漢方薬の処方といえばエキス剤(顆粒)が一般的だが、鹿島労災病院和漢診療センターでは煎じ薬を処方。効果は煎じ薬のほうが断然に優れているにもかかわらず「臭い」「調剤管理の手間がかかる」などの理由で、多くの病院では煎じ薬を敬遠する傾向にあるのだとか。
ちなみに、同院のような中規模以上の病院で煎じ薬を処方できる施設は、関東地方には極めて少ないという。

診療を受けるには

【東洋医学研究所クリニック】午前:火・木・金・土/午後:月・火。
受付時間は、月~金曜:8:30~11:30、13:00~15:30。土曜の午前8:30~11:30。
休診日は、日・祝・第3土曜、年末年始(12月30日~1月4日)、創立記念日(12月5日)

【鹿島労災病院】毎週水曜日の内科外来を担当
【証クリニック神田】土曜日(非定期、要予約)

累積症例数または患者数

累積症例数は4,400例(和漢として2001.4~2012.9まで)

年間症例数

和漢診療の初診患者数は年380人、1日あたりの診療患者数は50人(外来週4日)。

医師のプロフィール

経歴
1981年 千葉大学医学部 卒業
1995年 富山医科薬科大学付属病院和漢診療学講座助教授
1999年 富山医科薬科大学和漢薬研究所漢方診断学部門客員教授
2001年 鹿島労災病院和漢診療センター センター長
2014年 東京女子医科大学 東洋医学研究所クリニック 教授
2015年 同所長
所属学会・認定・資格

日本東洋医学会理事・漢方専門医・指導医、日本内科学会認定内科医、和漢医薬学会評議員・編集委員、日本心療内科学会評議員、日本医師会認定産業医

予防に心がけたいこと

現代は運動不足の人が多い。病気でもないのに外気の冷たさを嫌って室内に閉じこもって静かにしているだけでは、身体は冷えやすくなる一方。「一身動けば一身強まる」「人間、足からあがる」「隠居三年」――これらは健康のために、いかに運動が大切かを示した名言である。
健康な子供は熱のかたまりであり、冬の寒さの中でも元気に走り回っている。彼らの手足の冷えは、外気の冷たさに耐えられている証明でもある。
大人も、皮膚を鍛えることで冷えや寒さに強くなれる。乾布摩擦・冷水摩擦・サウナ後の冷水浴などにはそうした効果があるほか、水泳・冬季のジョギングやウォーキングには運動だけでなく、寒風に身をさらすことで皮膚を鍛える効用がある。
特におすすめしたいのは、入浴後の10秒冷水シャワー。水をかける順番を足、顔、背中とすると、比較的抵抗が少ない(心臓に不安のある場合はやらないこと)。
食べ物については、「肉などの動物性食品は体を温め、果物・生野菜などの植物性食品は体を冷やす」とされるが、食物の場合「暑い地域でとれた食物は体を冷やし、寒い地域の食物は体を温める」傾向がある。
よって、熱帯の果物や砂糖は体を冷やす。リンゴは寒い地域でとれるため、果物としては冷やす作用は比較的弱いとされるが、それでも冷える人は少なくない。なお、乳製品は動物性だが体を冷やす(牛乳は温めても体を冷やす)。なお、食事が体を冷やす作用には個人差があり、運動をしている人は運動で熱を産生するために影響は少ない。しかし、運動をしていない人、あるいはあまり運動できない人にとっては冷やす食物は良くないだろう。そして、何よりも喫煙は身体を冷やす。代表的な血管疾患である閉塞性動脈硬化症も初期症状は冷えであり、必要な治療は血管拡張薬よりも禁煙。ニコチンの血管収縮作用は強力であり、どんなに高価な薬の効果もタバコ1本で吹っ飛んでしまうほど。血管疾患にならなくても愛煙家の冷えは極めて難治であり、禁煙しないで良くなるケースは皆無である。

費用のめやす

保険診療。なお、処方する漢方薬の大部分も医薬品として保険の適応が認められている。