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伊藤貞嘉 医師 (いとうさだよし)

伊藤貞嘉 (いとうさだよし) 医師

東北大学大学院医学系研究科
腎高血圧・内分泌学分野
教授

専門

腎、高血圧、内分泌

医師の紹介

生活習慣病における「食塩や肥満」と「高血圧、腎障害と心血管病」の関連を研究。これまで、食塩摂取によりレニン分泌や腎血行動態が変化する機序を初めて直接証明したほか、腎臓局所の血流変化が濾過機能やナトリウム排泄を調節する機序を明らかにしてきた。また、一連の基礎研究から得られた成果を臨床に還元するため、糖尿病性腎症や高血圧患者を対象にした臨床研究も。腎障害の進展抑制における血圧管理や、薬物療法の意義を明らかにしている。これまでに日本腎臓財団学術賞、文部科学大臣表彰、日本高血圧学会栄誉賞などを受賞。

診療内容

高血圧のうち約90%は原因がはっきりしておらず「本態性高血圧」と呼ばれるもの。遺伝体質的な素因に加え、食塩の過剰摂取・肥満・心理社会的ストレスなどが影響する多因子説が考えられている。血圧は環境・活動性・睡眠などによって変化するほか、家庭血圧測定では正常であるのに病院で測定すると血圧値が上がる「白衣性高血圧」と呼ばれるケースも。最近では、家庭血圧や24時間血圧値などを参考にして降圧治療を行っている。一方で、高血圧のうち約10%は、腎臓疾患・腎動脈の狭窄病変・副腎腫瘍・内分泌疾患により高血圧症をきたす「二次性高血圧」と呼ばれるもの。これらは原因がはっきりしているために、根治的治療が可能である。
同院腎・高血圧・内分泌科では、まず高血圧の原因を診断。本態性高血圧の場合には生活習慣の改善の後、必要な場合は降圧療法を、二次性高血圧の場合にはそれぞれの原因に応じた適切な診断・治療を行う(後述)。生活習慣病の増加により肥満、ストレス、無呼吸症候群なども増えており、必要に応じてそれぞれの専門家と相互に連携して治療を行う。
また、東北地方という土地柄から、塩分の過剰摂取によって引き起こされる高血圧の患者も多い。摂取塩分量は外来において尿検査を行うことで簡単に分かるため、摂取塩分の過剰な患者には食事指導も適宜行っている。なお、高血圧の高齢者については動脈硬化の進展が見られるため、PWI測定(動脈硬化を測定する血圧計)、脳MR、頸部血管エコー、心エコー、腎エコーなどを行い、全身の血管の評価を行うことで合併症の早期発見を行う。
妊娠時の高血圧は、胎児の発育不良・早産を引き起こすとともに、母体や胎児へも危険を及ぼす。妊娠中毒症の患者は高血圧・浮腫・蛋白尿を合併しており、さらに厳重な管理が必要。妊婦に使用出来る薬物は限られているため、産婦人科や小児科と連携して治療にあたっている。
種々の二次性高血圧に対しては根治的治療を目指し、積極的なアプローチを行う。以下が治療の詳細となる。まず「腎血管性高血圧」については、経皮経管的腎動脈拡張術(PTRA)を行う。これは太ももの付け根から腎臓の血管まで細い管(バルーンカテーテル)を通し、カテーテルの先端に付けた風船を膨らませて腎臓の血管を押し広げるもの。広げた後にステントという金属製の小さな筒を血管に埋め込む。ただし、原因や条件によっては、必ずしもPTRAができるとは限らない。また、腎臓の血管を押し広げる治療を行っても再び狭くなる可能性が10~20%程度あり、特に動脈硬化症が原因の場合は再発率が高まるため、計画的な管理が必要。そのため、PTRA治療にあたっては、1)PTRAができるのかできないのか、2)いつ行うのが良いか、3)術前・術後の治療はどのようにするのか、4)再び狭くなったときの評価と対策はどうするのか、といったことを検討している。
副腎からのアルドステロン過剰分泌による高血圧「原発性アルドステロン症」では、まず各種画像診断により、副腎腫瘍の有無を調べる。その際、副腎腫瘍が見つからない場合や、腫瘍と反対側あるいは両側から分泌される場合も。過剰分泌側を調べるために、放射線科とタイアップして副腎静脈サンプリングというカテーテル検査を行い、左右副腎から分泌されるアルドステロン量を直接測定。手術の必要な患者は泌尿器科に紹介し、腹腔鏡にて副腎摘出を行う。
副腎から副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されるクッシング症候群では、病変のある副腎を腹腔鏡下で摘出する。時に、原発性アルドステロン症とクッシング症候群が合併することがあるが、副腎静脈サンプリングなどによりそれぞれの病変部位を同定し、病変部位のみを摘出する高度な治療もおこなわれている。

診療を受けるには

腎・高血圧・内分泌科の新患は毎週水曜と金曜の8:30~11:00受付。再診は、平日で原則予約診療となる。

医師のプロフィール

経歴
1979年3月 東北大学医学部 卒業
1979年5月 宮城県古川市立病院に初期研修医として勤務
1981年4月 東北大学医学部第二内科入局
1982年5月 アメリカ・ミシガン州ヘンリーフォード病院内科高血圧研究部門に留学
1986年3月 医学博士(東北大学)
1987年6月 アメリカ・ミシガン州ヘンリーフォード病院内科高血圧研究部門に主任研究員として招へい
1994年4月 ケースウエスタンリザーブ大学内科准教授
1995年3月 東北大学第二内科講師
1996年4月 東北大学第二内科教育担当主任
1997年8月 東北大学第二内科教授、東北大学医学部附属病院第二内科科長
1999年4月 東北大学大学院医学系研究科病態制御学講座、分子血管病態学分野教授
2002年4月 東北大学病院治験センター長、東北大学病院血液浄化療法部長
2004年7月 東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座、腎・高血圧・内分泌学分野教授(現職)
2004年10月 国立大学法人東北大学総長特任補佐
2008年4月 東北大学大学院医学系研究科副研究科長、東北大学医学部副学部長
2012年4月 東北大学理事(研究・環境安全担当)(現職)
所属学会・認定・資格

日本内科学会元理事、日本腎臓学会理事、日本高血圧学会理事、日本内分泌学会理事、日本心血管内分泌代謝学会理事、日本肥満治療学会理事、日本腎臓リハビリテーション学会理事、日本循環器学会評議員、アメリカ心臓協会Fellow

主な著書(編集・共著含む)

『二次性高血圧』(2003年メディカルレビュー社)amazonでみる⇒
『腎と高血圧-レニン・アンジオテンシン系抑制薬の意義』(2003年メディカルレビュー社)amazonでみる⇒ 
『慢性腎臓病CKD-病態理解に基づいた予防と治療のあり方』(2009年メディカルレビュー社/共著)amazonでみる⇒ 
『病態高血圧学』(1998年メディカルレビュー社/監修)amazonでみる⇒  
『腎障害患者に対するARBの使い方』(2006年メディカルレビュー社/監修)amazonでみる⇒
『目で見る腎と高血圧』(1998年メディカルレビュー社/監修)amazonでみる⇒
『奥薗壽子の超かんたん! [極うま]減塩レッスン』(2012年 PHP研究所/監修)amazonでみる⇒
『ファーマナビゲーター 利尿薬編』(2007年メディカルレビュー社/編集)amazonでみる⇒
『腎疾患のとらえかた-眼でみるベッドサイドの病態生理』(2003年 文光堂/編集)amazonでみる⇒
『治療薬UP TO DATE 2010年度版 ポケット判』(2010年メディカルレビュー社/共同編集)amazonでみる⇒ 
『治療薬UP TO DATE 2012年度版 ポケット判 2012年版』(2012年メディカルレビュー社/共同編集)amazonでみる⇒ 
『アンジオテンシン変換酵素阻害薬と臓器保護』(2001年 医薬ジャーナル社/共同編集)amazonでみる⇒ 
『高血圧Q&A』(2001年ヴァンメディカル/共同編集)amazonでみる⇒  
『新臨床内科学』(医学書院/共同編集)
『高血圧の個別治療-QOL重視の血圧管理』(1998年 医薬ジャーナル社/共同編集)amazonでみる⇒
『腎臓病の最新医療』(2001年 先端医療技術研究所/共同編集)amazonでみる⇒

予防に心がけたいこと

高血圧の予防において最も大切なのは、生活習慣の改善。なかでも減塩が第一である。また、適度な運動は血流を改善して血圧を下げる効果が。肥満の解消においても効果が期待できる。なお、大量の飲酒や喫煙は脳卒中や心筋梗塞発症の危険性を高めるため、酒は適量にとどめ、タバコはやめること。また、心理社会的なストレスも血圧に影響するため、リラックスやストレス発散を心掛けることも大事である。