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伊熊健一郎 医師 (いくまけんいちろう)

伊熊健一郎 (いくまけんいちろう) 医師

谷川記念病院(大阪府)3病院のクチコミ
副院長 婦人科内視鏡外科、低侵襲治療センター

専門

腹腔鏡で行う婦人科疾患(子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮外妊娠、婦人科がん、女性性器脱)、人工造腟術

医師の紹介

伊熊健一郎医師は、1980年代初め、当時、特に生殖医療においては最先端の治療を行っていたオーストラリアにて1981年から1年間留学をした。その間に、臨床面では腹腔鏡と体外受精の技術などを学び、1983年より兵庫医科大学において体外受精のプロジェクトを立ち上げた。当時の体外受精では、卵子の採取方法は腹腔鏡によるものであり、経腟的採取法が確立した後は、腹腔鏡はお蔵入りとなった。それが、外科の領域で腹腔鏡下胆嚢摘出術が登場した1990年前後に、腹腔鏡が再度登場。以前より進化した装置や器具や鉗子類が開発され、1991年より宝塚市立病院で腹腔鏡下手術を開始。婦人科内視鏡治療の先導者としての大きな役割を果たす。伊熊医師が考案した卵巣嚢腫に対する体外法(伊熊法)は、国内はじめ世界的にも確立した方法として知られる。他にも多くの術式の開発や手術器具の開発にも関わってきた。
診察室2006年4月から2012年3月まで健康保険組合連合会大阪中央病院に在職。2012年4月にから谷川記念病院副院長として就任。婦人科の標榜も同年4月に取得し、7月にからは新たに京阪神地区唯一の婦人科も含めた低侵襲治療センターをオープン。現在も第一線で活躍している。

 

診療内容

伊熊医師は1981年に留学先のオーストラリアで、腹腔鏡による不妊症の診断、簡単な剥離術、避妊手術、体外受精の排卵法など、数多くの腹腔鏡を使った技術を経験する。その後、1982年に兵庫医科大学で体外受精の実施を目指してチームを結成。1990年前後に「腹腔鏡による胆嚢摘出術」が行われるようになってから、婦人科領域でも急速に腹腔鏡下手術の広がりを見せる。1991年、伊熊医師はこの胆嚢摘出術をヒントに卵巣嚢腫に対する手術法「体外法」考案する。諸外国にも紹介され、その後、改良を重ね、現在では、より安全かつ確実にどの施設においても誰にでもできる簡便な方法として、確立した術式となっている。特に、癒着のない良性の卵巣嚢腫であれば、どんなに大きくても2カ所の孔で手術が可能で、妊娠を合併している卵巣嚢腫や、腹壁吊り上げ法の際にも有用は方法だという。また、高齢化社会で増えている女性性器脱(子宮脱や膀胱脱)に対するしても新たな術式の開発にも力を入れている。また、子宮がんや卵巣がんなどの婦人科悪性疾患に対しても、倉敷成人病センターの安藤正明医師の広汎性子宮全摘出術や後腹膜リンパ筋郭清術をの発表に関わるなど、常に安全性を留意しながら、腹腔鏡下手術の可能性と発展を探っている。
伊熊医師が診療の上で一番心がけていることは、患者さんの話をよく聞き、今の彼女にとって最適で最良な治療法を提案すること。「現在では、症例の積み重ねと多くの体験により、それぞれの患者さんに応じた手術適応の判断を下すことや、手術内容の予測などもそれなりに的確にできるようになりました。未婚なのか、既婚なのか、出産前なのか、出産経験があるのか、子どもを望んでいるのかいないのか等などを考慮することは、治療をするうえで重要です。特に、手術は人生を左右するものなので、患者さんのライフスタイルをよく理解した上で、いつ、どんな治療を選択するべきか、患者さんの人生設計の中にどのように治療を組み込むかを相談しながら、決めていきます」(伊熊医師)
これからの時代、患者の病態やライフスタイルに応じた、個別で最善な治療内容を提供する、いわゆる「オーダーメイド(個別化)治療」が求められる時代になっているという。また、伊熊医師本人も十数年にわたって、胆石の腹痛があり、1998年に腹腔鏡下手術を経験した。そのときに、自身が退院後すぐに仕事に復帰したことで、完全に体調を戻すのにかえって時間がかかった。この反省も踏まえ、たとえ低侵襲といえども、特に主婦は家庭に戻れば何もしないわけにはいきません。体も心もリフレッシュして戻ってもらいたいとの思いから、日帰り手術などは積極的にはすすめないのだという。
もう一つ、伊熊医師が特に力を入れていることに「人工造腟術」がある。生まれつき、腟のない女性は5000人に1人の割合でいるのだという。彼女たちの染色体は正常な女性型で異常はなく、乳房や外性器や恥毛などの発育は正常。卵巣機能のホルモン分泌も正常だが、腟はなく、子宮としての機能もない。卵管と卵巣の機能は正常で排卵機能はあるが、妊娠はできない。この疾患は先天性腟欠損症(RKH症候群)と呼ばれ、ほとんどの場合、初潮がこないことで初めて気づくのだという。
伊熊医師はこれまでに40例以上を経験してきた。腟機能を人工的に再建することにより、女性としてパートナーとの性行為を違和感なくいつでも受け入れることができるようになると話す。
事実を知り、絶望感で打ちのめされた状態の患者に対して、まずは治療法があることを知ってもらうのだという。女性として普通に幸せになってもらいたいという強い思いで、人工造腟術に取り組んでいる国内でも数少ない医師の1人であり、その存在は彼女たちにとって大きな希望の光となっている。

診療を受けるには

診察対象は手術を必要とする患者。完全予約制。(予約電話TEL:072-622-3833)

累積症例数または患者数

累計7,500例以上

年間症例数

谷川記念病院に転職した現在、月30例程度は可能。

医師のプロフィール

経歴
1949年 兵庫県篠山市生まれ
1969年 徳島大学医学部医学科入学
1975年 徳島大学医学部(医学課)卒業
1975年 兵庫医科大学産科婦人科学教室入局 礒島晋三教授の下、不妊症(抗精子抗体)と免疫学について研究開始
1977年 兵庫医科大学産科婦人科学教室 助手
1977年 (8月~11月)伊丹市立病院 産婦人科医員
1977年 兵庫医科大学産科婦人科学教室 助手
1981年 豪州に留学 AdeladeにあるFlinders Universityで免疫学の研究とFlinders Medical Centerにて腹腔鏡と体外受精を学ぶ
1982年 兵庫医科大学産科婦人科学で腹腔鏡チームと体外受精チームの立ち上げ
1984年 兵庫医科大学産科婦人科学教室講師
1984年 宝塚市立病院 産婦人科の初代責任者として就任
1985年 医学博士学位受領 (子宮頸管内精子通過性に及ぼす抗精子抗体の影響に関する研究)
1991年 宝塚市立病院で腹腔鏡下手術を開始
1992年 宝塚市立病院 産婦人科部長
2000年 宝塚市立病院 診療部長 兼 産婦人科部長
2005年 宝塚市立病院 診療部長
2006年3月 宝塚市立病院  退職
2006年4月 健保連大阪中央病院 医務局長 婦人科部長
2008年4月 健保連大阪中央病院 副院長兼婦人科部長
2008年7月 健保連大阪中央病院 副院長
2012年4月 医療法人篤靜会 谷川記念病院 副院長
現在に至る

【大学の講師】
昭和59年04月~平成14年03月:兵庫医科大学非常勤講師
平成15年04月~平成18年03月:兵庫医科大学臨床実習教授
平成05年04月~平成16年03月:滋賀医科大学非常勤講師
平成17年04月~現在:滋賀医科大学非常勤講師
平成16年04月~平成19年03月:大阪市立大学医学部非常勤講師
平成19年04月~平成21年03月:大阪市立大学客員准教授
平成21年04月~平成22年03月:大阪市立大学客員教授
平成22年04月~現在:大阪市立大学客員准教授
平成22年08月~現在:聖マリアンナ医科大学客員教授
所属学会・認定・資格

【学会の理事】日本産科婦人科内視鏡学会常務理事、日本内視鏡外科学会理事、近畿産婦人科内視鏡手術研究会理事
【技術認定医】日本産科婦人科内視鏡学会技術認定審査委員、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、
日本内視鏡外科学会技術認定医
【ガイドライン委員会】日本産科婦人科内視鏡学会ガイドライン委員会委員、日本内視鏡外科学会ガイドライン領域担当分科会産婦人科協力委員
【評議員等】日本外科系連合学会評議員、日本腹部救急医学階評議員、近畿産科婦人科学会評議員内分泌・生殖研究部会委員、兵庫県産科婦人科学会評議員学術委員、大阪産婦人科医会評議員、エンドメトリオーシス研究会
【世話人等】日本エンドメトリオーシス学会世話人、単孔式内視鏡手術研究会世話人、近畿内視鏡外科手術研究会世話人、KOBE Endoscopic High Technology Conference、
阪神内視鏡手術勉強会、兵庫県産婦人科内視鏡手術勉強会、International Society for Gynecologic Endoscopy、American Association of Gynecologic Laparoscopist、
日本産婦人科乳癌研究会
【学会長など】第3回阪神内視鏡手術勉強会当番世話人、第5回近畿産婦人科内視鏡手術研究会会長
第28回日本生殖外科学会会長、第45回日本産科婦人科内視鏡学会会長、第20回阪神内視鏡手術勉強会当番世話人
【雑誌編集委員歴】日本内視鏡外科学会誌編集委員、Editorial Board of Aasian Journal of Endoscopic Surgery 、日本外科系連合学会映像委員会委員、The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
【学会賞】《第50回日本産婦人科内視鏡学会》【学会賞:ビデオ部門受賞】《ISGE 19th Annual Congress in conjunction with the AGES XX Annual Scientific Meeting》 “Best Video Presentation 2010”《第49回日本産科婦人科内視鏡学会》
【学会賞:ビデオ部門受賞】《第29回エンドメトリオーシス研究会》【演題発表賞(臨床部門):受賞】
《第41回日本腹部救急医学会総会》【理事長賞:受賞】《AAGL 33rd Annual Meeting in San Francisco》 “2nd Place - GOLDEN LAPAROSCOPIC AWARD” "Best Surgical Video"
《第40回日本腹部救急医学会総会》【優秀演題賞:受賞】《AAGL 32nd Annual Meeting in Las Vegas》“2nd Place - GOLDEN LAPAROSCOPIC AWARD” "Best Surgical Video"
《31st AAGL(The American Association of Gynecologic Laparoscopists)》 “3rd Place - GOLDEN LAPAROSCOPIC AWARD” "Best Surgical Video"

予防に心がけたいこと

手術対象となる疾患では、特に予防法はありません。しかし、診察を受けて何もなくても1年から2年毎の検診を受けられることをお勧めします。卵巣嚢腫や子宮内膜症などでは3~4か月毎の診察、子宮筋腫の場合には半年~1年毎の診察をお勧めします。また、若年の子宮頚がんも増加しております。検診は大切です。

費用のめやす

卵巣嚢腫(5日間入院)25万円、子宮筋腫(7日間入院)30万円