ドクターズガイド

井上耕一 医師 (いのうえこういち)

井上耕一 (いのうえこういち) 医師

桜橋渡辺病院(大阪府)3病院のクチコミ
循環器内科 不整脈科
部長

専門

カテーテルアブレーション(特に心房細動)、デバイス(ペースメーカー、ICD、CRT)治療、難治性不整脈の管理

医師の紹介

循環器専門医・不整脈専門医。頻脈性不整脈に対する根治療法であるカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)、ペースメーカー(ICD,CRT)治療を専門とし、高い評価を受ける新進気鋭の医師。不整脈への薬物療法にも詳しく、抗凝固療法の最前線に立つ医師として講演や座談会などに参加する機会も多い。治療成績や症例数には定評があり患者からの信頼も厚い。また、執筆論文が学会で受賞するなど研究者としても注目を集めている。日本不整脈学会アブレーション委員会の最年少の委員でもある。

診療内容

「カテーテルアブレーション」とは原因となる心筋組織をカテーテルで焼灼(アブレーション)する手術。現在ではほぼすべての頻脈性不整脈を治療対象とし、根治療法とされている。この治療を受ければ、従来では抗不整脈薬を服用し続けていたケースであっても、薬物療法を中止しても発作性が起こらなくなることが期待できる。
同院の心臓血管センター不整脈科では、頻脈性不整脈、特に心房細動に対するカテーテルアブレーションに積極的に取り組んでいる。年間約500例という件数は国内の施設のなかでもトップクラスである。治療成績も良好で、世界の一流施設と肩を並べるレベルである。同科で中心となって診療にあたる井上医師に、アブレーションの方法について聞いてみた。
「アブレーションはカテーテルを用いた治療ですので局所麻酔で行います。心房細動アブレーションの場合は両大腿静脈と右肘もしくは肩口の静脈から計4~5本のカテーテルを心臓に挿入し、うち2~3本は左心房にアプローチしてカテーテルを挿入します。電気生理学的検査を行った後でアブレーションを開始します。手術は1.5~3時間程度です。通電中は場所によって痛みがあるため、鎮静剤を注射しながら行います」術後はカテーテルを抜去して病室に帰るが、出血の予防のため6時間は上向きに寝た状態を保持する必要がある。また、しばらくは心房細動再発が出やすいため、術後3日間の経過観察を経て退院となるという。同院では、心房細動アブレーションはすべて三次元マッピングシステム(CARTO3システム、CARTOSOUNDシステム、NavX Velocityシステム)の最新バージョンを用いて行っている。
それでは、どのような場合に心房細動アブレーションが適応となるのだろうか。井上医師によると「心房細動のリズムコントロール(心房細動を停止させ、正常な脈を保つ治療)として最初に行われるのは、抗不整脈薬による薬物療法です。しかし患者が若年の場合、そして発作性・慢性にかかわらず薬剤で満足のいくコントロールが得られない場合はアブレーションの適応となると考えています」という。
さらに井上医師は「心房細動アブレーションは、まだまだ満点の治療ではありません。この治療の長所と短所を、患者さん自身がきちんと理解していることが、この治療を受けるうえでの必要条件です」と話す。アブレーションの長所としては、心房細動のリズムコントロール治療で最も有効性が高い治療法であること、完治を目指せる唯一の治療法であること、カテーテルで行われるため他の心臓の手術等と比べれば身体への負担が小さいこと、などがあげられる。そして短所としては、20~30%の症例では治療を2回以上受ける必要があること、複数回受けても心房細動が残存する可能性もあること、局所麻酔・通電時・術後の安静時の苦痛、極めてまれ(0.5%未満)に重篤な合併症(後遺症が残るような脳梗塞や大出血)があること、歴史が10年と浅く長期成績はわかっていないこと、等がある。
心房細動は日本で数百万人が罹患している、珍しくない病気である。年齢が高くなるほど発症率が上昇し、その変化は特に男性で顕著だ。高齢社会の到来により患者数は増えつづけており、さらに良い治療法の開発が待たれる。今後の展望について井上医師は次のように話す。「アブレーションを含む心房細動の治療は、治療技術の進歩が著しい分野です。画期的な臨床研究が行われたり、多くの新薬や医療機器が開発されたりしており、今後もさらなる進化が期待されます。常に新しい情報・機材を入手し、その時代のベストの治療を行っていきたいと思います」また、アブレーションを受ける施設を選ぶ場合の注意点を以下のように話す。「アブレーション治療は、カテーテルを握る医師一人で行える治療ではありません。経験豊富なサポート医師や技師、看護師の総合力が重要です。この点で、伝統があり症例数の豊富な施設はチームとしての経験値が高くチーム力が高いと考えられます。それと、特に心房細動アブレーションではフォローアップまでしっかりと行ってもらえる施設にお願いするべきだと思います」

診療を受けるには

井上医師の診療は、月曜・木曜の午後13:00~。受付9:00~11:30/13:00~16:00。初診は電話予約不可。あれば紹介状や不整脈時の心電図を持参すること。

年間症例数

アブレーションの施設症例数は年間約600例/年、うち心房細動は約400例/年。井上医師によるアブレーション治療を希望される場合は、井上医師の外来でその旨を伝えること。(現在約2ヶ月待ち)
心臓デバイス(ペースメーカー)の施設症例数は年間約200例。(井上医師はICD・CRT手術、難治症例のみ施行)

医師のプロフィール

経歴
1995年 大阪大学医学部 卒業
1995年 大阪大学医学部付属病院
1996年 桜橋渡辺病院内科
1999年 大阪大学医学系研究科大学院入学
1999~2001年 東京大学医科学研究所特別研究学生
2002年 大阪大学医学系研究科大学院卒業
2002年 桜橋渡辺病院心臓血管センター内科
2007年 桜橋渡辺病院心臓血管センター内科医長
2008年 桜橋渡辺病院心臓血管センター 不整脈科科長
2014年 桜橋渡辺病院心臓血管センター 内科部長兼任
所属学会・認定・資格

日本不整脈学会認定不整脈専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定内科認定

予防に心がけたいこと

不整脈には、怖いものもありますが、怖くないものも多く含まれます。正しい診断とリスク(どれくらい怖いか)を評価し、対応していくことが重要です。不必要に怖がりすぎて、生活の質(QOL)を落としてしまわないようにしましょう。