ドクターズガイド

中井利江子 歯科医師 (なかいりえこ)

中井利江子 (なかいりえこ) 歯科医師

アイ歯科(北海道)
院長 歯科

専門

歯科一般、歯周病治療、ホワイトニング、金属床義歯の作製、口臭治療

歯科医師の紹介

専門的な口臭外来を設置する口臭治療のエキスパート。口臭治療のカリスマと言われる本田俊一歯科医師と同じコンセプトで(ほんだ式)、複数の測定器を使用して口臭ガスを測定し、歯周病等の悪化による病的な口臭を含む口臭症に対応する。治療においてはカウンセリングを主体とし、生活習慣の分析を重視したアプローチを実施。むし歯、歯周病、入れ歯やブリッジ等の補綴、口腔外科処置、ドライマウスといった歯科一般にも対応する。モットーは「最先端の医療」より「確実で予後の良い治療」

診療内容

口臭は体質だから治らないのではないかと思われがちだが「口臭は治ります。しかし、まず検査をしてその原因を調べる必要があります」と中井歯科医師は話す。
口臭の原因を大まかに分類すると、口の中や耳鼻科領域や全身に疾患があって起こる場合と、そのような疾患はないにもかかわらず起こる場合。前者は病的口臭、後者は生理的口臭と呼ばれる。ただし、それによって起こる口臭を本人が自覚して初めて治療のニーズが発生する。口臭を自覚しても、通常行われるケアで解決したり、市販のグッズ等を利用して解消するならば悩むことは少ないと思われるが、口臭は非常にデリケートなテーマであって、他人にどう思われているのかを不安に感じると、問題は深刻になっていく。さらに、そのような不安は、実は口臭の発生そのものの引き金にもなったりする。
たとえば風邪をひいたと思った時にすぐ病院へ行こうする人は多いと思われるが、口臭が気になった場合、同じようにすぐ病院へ行って口臭の相談をしようと考える人は比較的少ないだろう。まずは市販の口臭予防をうたう製品、あるいは通販で入手できる製品を試すケースが多い。中には歯科で相談するケースもあるが、他人から口臭を指摘されて受診する場合は病的口臭の割合が多いと考えられるので、それが歯科的問題によるならば解決する可能性は高いものの、通常の歯科医院では口臭そのものに対応しているところは少ない。たいていはむし歯を発見して「それを治しましょう」で終わったり「歯周病の治療をすれば治りますよ」と言われたりする。そもそも本人が口臭で悩んでいるケースでは、ほとんどが的外れである。口臭外来は、このような悩みを持った患者に対し、口臭が発生する原因を突き止め、それを解消し、本人を悩みから救い出すところである。
中井歯科医師の口臭治療の特徴は「ほんだ式」と呼ばれる方法だ。口臭治療のカリスマと言われる本田俊一歯科医師と同じコンセプトで、複数の測定器を使用し、その他様々な手段で口臭にアプローチしている。
ほんだ式口臭治療の基本は「Excellent Breath (エクセレントブレス)」を手に入れることである。「たとえば、日常的な挨拶としてキスしたり抱擁したりするアメリカでは、自分の口臭をコントロールすることが当然とされていますが、そのような習慣のない日本では、相手に近づいた時、多くの場合は口臭を感じます。また、最近では臭いに気を使う人が増えましたが、以前は口臭に悩む人を「気にしすぎ」の一言で片づけていました。口臭があるのが当たり前、お互い様、のような認識があるからです。こうした従来の日本の考え方に対し「至近距離でも無臭の息」というのがExcellent Breath (エクセレントブレス)です。適切な治療と管理により、誰でも無臭の息を手に入れることができます。そうすることで、いつでもどんな相手に対しても、自信を持って話せるようになります」(中井歯科医師)
ちなみに「ほんだ式」は1996年から東大阪市のほんだ歯科でスタートし、当初は同業者から異端視されたが、患者からは絶大な支持を得ていた。その後、全国から押し寄せる患者にほんだ歯科だけで対処すること困難になり、全国どこでもほんだ歯科口臭外来と同じコンセプトの診療が受けられるように、という目的で多くの提携クリニックが作られていった。中井歯科医師は、ふとしたきっかけで本田医師と知り合い「ほんだ式」の確立と普及に協力し、自らも「ほんだ式」を実践するようになった。
中井歯科医師による診療はカウンセリングが主体であり、たとえば初診の場合は2時間半~3時間程度かけてじっくり患者と向きあっている。治療にあたっては、まずは病的な口臭か、そうでないかを調べる。病的な口臭の場合は、口臭の原因である病気を治せば、特別な口臭治療がなくても解決できるからだ。口腔内の診査と共に、全身疾患のスクリーニングとして尿検査を行う。耳鼻科的な問題の可能性を考えて、その領域の検査も行う。歯科以外の問題が原因である、あるいは大きな影響を与えていると考えられる場合は、その分野の医療機関の受診を勧める。ただ、口臭のコントロールに関しては同院で責任を持つ。
一方、病的な問題が原因でない場合、これを生理的口臭症と言うが、その多くは主に生活習慣の歪みを背景にした口腔生理機能の問題によって起こる。口臭を解消するためには、様々な検査によって口臭の起こる背景をつきとめ、それを改善する必要がある。
検査としては、むし歯や歯茎などの口腔内検査に加えて、尿検査で全身的な問題が口臭の背景にないかを調べたり、口臭ガス測定、唾液の検査(量と質について)、舌の検査、咽頭部の検査、官能検査(実際に吐いた息などが、他人にはどのように感じられるのかを調べる)に至るまで多岐にわたる。
気になる効果のほどについて、中井歯科医師は「口臭そのものは、初診の日の処置でコントロールできるようになります。多くの方は二度目の来院で口臭がほぼ消えて、三度目の来院で卒業となります。重症の人であっても3~5回目の受診で自信がついてきます」と語る。
ちなみに「卒業」とは、口臭そのものは治ると言いつつも、口臭に悩む、という状況は本人の性格も大きく反映するため、一度は改善しても、時間がたつと再び悩み始めるケースも多いことから、その後の定期管理を重要視する考えによる。卒業の後は3カ月程度の期間を空けて定期的に受診し、良い状態を維持する。なお、定期管理のほうは歯周病の治療と予防がメインとなるので、保険診療の取扱いとなる。ただ、この時は簡単な相談には応じてもらえるし、官能検査と呼ばれる、息のチェックもしてもらえる。
口臭症の場合は、自分で適切にコントロールを続けられるかどうかが問題となる。悩みが深い人、特に数十年も一人で悩んできたような人の場合、口臭自体が消えても不安がすぐには解消するとは言い難く、悩みがなくなるのに時間がかかるケースもあるというが、一般的にはおよそ2~3ヶ月が治療期間の目安とされている。
「歯科の病気は生死にかかわることは少ないですが、全身状態と深い関わりを持っています。歯科の病気の多くは予防ができるが、自分の努力だけでは達成が難しいものです」と中井歯科医師は話す。
特に近年は、歯周病が糖尿病の悪化と関係するとか、動脈硬化を起こすとか、様々な研究結果が明らかになってきているので「痛くなければ歯の治療は必要はない」という考えは危険である。口臭も、背景に病気があったり、あるいは全身の健康にも影響するような生活習慣の乱れによるものだったりすることが多いので、口臭を指摘されたり、あるいは自分で気になる場合は放置せず、まずは歯科で相談することをお勧めする。自分で口臭が気になるにも関わらず最寄りの歯科で解決できない場合には、口臭外来へ。そして自覚症状がなくても定期的に歯科医院に通う習慣をつけ、歯科の病気を未然に防ぐことが大切だ。
※アイ歯科のホームページや、中井医師が管理する「口臭対策室」では、「自臭症」という言葉がしばしば使われている。これは、従来<ほんだ式口臭治療>で使われてきた表現であるが、そこには、口臭に悩む人が他人からその臭いを認知してもらうことが難しかったという背景がある。認知してもらうことができなければ、それは存在しないということになり、従って治療の対象とはならない。悩む患者が助けを求めて医療機関を受診しても、何も解決できなかった。ちなみに、自臭症という言葉は、本田俊一歯科医師によると東京医科大学の内田安信医師が作ったそうだ。
その後2009年に設立された日本口臭学会において、口臭治療のガイドライン作成の取り組みが行われ、2012年12月末時点では未完成だが、口臭と、口臭に悩む症状を区別し簡潔な表現でまとめられる予定である。
すなわち「口臭とは本人あるいは第三者が不快と感じる呼気の総称」「口臭症とは(中略)口臭に対して不安を感じる症状」というふうになっている。なお、詳細についてはガイドライン作成が完了すれば日本口臭学会のホームページにて公開されるのでそちらを参照されたい。

診療を受けるには

口臭外来は診療に時間がかかるため、事前予約が必須である。口臭の原因把握のため1週間かけて生活習慣調査を行う必要があり、受診は原則として申込から1週間以上先となる。

年間症例数

患者数は変動が大きいが、平均して年間25名ほど診療する。

歯科医師のプロフィール

経歴
1978年3月 北海道大学歯学部 卒業
1978年8月 河野歯科医院
1985年9月 アイ歯科院長
所属学会・認定・資格

日本口臭学会理事、Excellent Breath Alliance Clinics(ほんだ歯科口臭外来提携クリニック)メンバー(顧問)、日本歯周病学会会員、ドライマウス研究会会員、抗加齢医学会会員、日本口腔内科学研究会会員

予防に心がけたいこと

口臭予防のために歯を磨きすぎる人もいるが、やり方を間違えるとかえって口臭が悪化する場合がある。まず、市販されている歯磨剤の多くが合成界面活性剤を含んでいるが、それにより口の環境が悪化して口臭が起こりやすい。これは、歯磨剤を洗い流すために何度もうがいを繰り返すことによる口の乾燥、そして化学成分による刺激で唾液の状態が悪化(濁りと臭気を発生)することによる。特に食事直後は口の中が大きく酸性に傾いていて、正常に分泌された唾液によりそれが中性に戻っていく、という生理的な仕組みがあるのだが、ここで通常の歯みがきを行うと、唾液を洗い流すことによる乾燥と同時に「酸性のままの状態が続く」ということが起こる。口臭が起こりやすい要因はいくつもあるが、口の中が酸性の場合は口臭が起こりやすく、またむし歯も起こりやすいので、注意が必要である。

また、歯みがきの本来の目的は歯や歯ぐきの病気の予防であるはずだが、そして予防のためにそれらの原因となる細菌をコントロールする必要があるのだが、実は食事直後というのは、問題となる口の中の細菌は激減しているタイミングである。したがって「食後の歯みがき」は弊害が大きいだけで何の意味もない。
ただし、食べカスや、特に糖分を含むような飲み物が口の中に残っていると、細菌がそれらを分解することにより口の中は酸性になるため、適切な清掃は必要である。方法としては、できれば歯科用の楊枝を使いたいが、①食事が終わった直後につまようじ等で歯のすき間に残った食べカスを取る、②口に水を含み、ブクブクと歯ぐきの頬の間に残ったカスを洗い出し、その後吐き出さずに飲み込む、③再度口に水を含み、今度は舌の表面を上顎に何度もすりつけて、そこに残っているはずの細かいカスを洗い出し、これも同様に飲み込む。この時に水を吐き出さずに飲み込むのは、吐き出すことで口が乾燥するのを防ぐためである。口の乾燥と酸性化は口臭の元と覚えておきたい(ちなみに、アメや砂糖を固めて作ったようなタブレットを、口臭をごまかす目的で使用するのは絶対に止めたほうがいい。それらは、形が残っているうちは唾液分泌を促進するが、溶け切った後では口の中を酸性化させ、むし歯発生とすっぱい口臭発生の要因となる。また不快感が残るために、口臭への不安も増す)。
必要で有意義な歯磨きは、起床後・就寝前の1日2回。その理由は、唾液には殺菌作用があり、自律神経の働きによってコントロールされる唾液が豊富に出ている日中は細菌があまり増えないのに対し、就寝中は唾液が激減するため、細菌のほうは大幅に増えるからである。そして、飲み込まれて胃の中に入った細菌は、通常であれば胃酸で処理されるのに対し、起床から間もなく、自律神経がお休みモードから十分に復活していない段階では、その処理がきちんと行われないからである。
歯磨き粉は、市販品ではほとんどが合成界面活性剤を含んでいる。問題の起こらない人も多いのだろうが、特にアレルギー傾向のある場合は、このような化学物質によって口の粘膜が荒れやすい。それは口臭発生につながるため、使う場合は少量としたい。食後にどうしても歯磨きしたい場合は、歯磨き粉を使わずに行うこと。合成界面活性剤を含まないタイプの歯磨き粉をスーパー等で探すことは難しいと思うが、通信販売で購入できるし、まずは通院している歯科医院で相談してみるとよい。
生活習慣については、バランスのとれた食事を規則正しくとり、よく噛む、という生活がお勧めである。よく噛むことは胃の負担を減らすことにもなるし、脳の活性化にもつながるので、口臭が気にならない人にも是非実践してほしい。また寝る直前の食事は避けたい。寝る前の4時間は、水以外は口にしないほうが良い。運動も、激しいものは必要ないが、自律神経を鍛えるために、定期的に体を動かすことが好ましい。唾液は、自律神経が正常に働いていれば、状況に応じて適した性質のものが分泌される。必要で十分な唾液の流れが口臭の予防になり、それは全身の健康維持にもつながる。
もう一つ、口臭対策として重要なことは「不安」のコントロールである。しばしば、話している相手のしぐさ、時には、遠く離れた場所にいる人のしぐさまで、自分に口臭があるからだ、という訴えを聞く。話す時に口を押さえるとか、鼻をすするとか、咳きこむなどである。しかし、そのようなしぐさは、実は口臭のせいではなく、そもそも臭気への反応ですらない。自分の口臭を客観的に知ることができない、他人にも相談できない、でも気になる、そういう状況の中で目に入る他人のしぐさは不安をさらに煽る。そういう不安は、それまで実際には口臭はなかったのに新たに口臭を発生させる引き金となる。まずは、落ち着こう。
それから、口臭に悩む人は、無口な人が多い。口臭が気になるから話せない、という気持ちはわかるが、口が動かないと唾液の流れは滞り、口臭は発生しやすくなる。話せなくても、笑顔を作るだけで口の緊張は解け、唾液が流れ、口臭ガスがたまることを防げる。無口で、人を警戒するような行動(本人は、口臭がばれるのを避けているつもり、あるいは相手に口臭で迷惑をかけまいとしているつもり)は、他人から見れば近寄りがたい人という評価になり、普通は、積極的に付き合いたい人間、一緒に過ごして楽しい人間とは思われない。そこを、本人は自分が「臭いから」避けられるのだと考えてしまう。とにかく、必要なケアをしたら、笑顔になろう。会話に加わっていこう。

費用のめやす

口臭そのものは病気とみなされないため、健康保険は適用されず自費での治療となる。
初診…基本診療料:一般歯科検査、歯のクリーニング、口臭に直接かかわる問題の検査とカウンセリング料 30,000円(税抜)。口臭抑制剤:5,000円~8,000円(ケースにより異なる)
再診…基本診療料:検査とカウンセリング料15,000円(税抜)。口臭抑制剤:初診時に処方したものは2~3週間程度でなくなるものもある。補充したり症状に応じ、新たなものを追加する。4,000~8,000円程度(ケースにより異なる)。

発信メディア(ホームページ、ブログ、Twitter、facebook等)

口臭対策室: 
歯科相談BBS by ほんだ&りえ: 
中井医師ブログ「多忙なデンティストの脳みそ」: 
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