ドクターズガイド

上條桂一 医師 (かみじょうけいいち)

上條桂一 (かみじょうけいいち) 医師

上條甲状腺クリニック(北海道)
院長 甲状腺専門内科

専門

バセドウ病におけるTSH受容体抗体(TRAb)の臨床応用

医師の紹介

1994年2月、北海道初の甲状腺疾患専門内科として同クリニックを開設。日本甲状腺学会の甲状腺専門医療機関認定。「専用の検査キットでバセドウ病、橋本病の検査結果が短時間で得られるよう医療機器を備えています」(上條医師)。バセドウ病には、薬・アイソトープ(放射性ヨード)・手術の3つの治療法があるが、それぞれの長所、短所についてバセドウ病治療ガイドライン作成委員で培った経験を生かし、患者との対話とインフォームドコンセントを大切にした治療を行っているという。

診療内容

北海道で初めての甲状腺疾患専門内科であるため、道内各所から患者がたくさん訪れる。このためロシュ・ダイアグノスティックス株式会社cobas e 411を2台設置。短時間で検査結果を得ることが可能となった。甲状腺の病気として代表的なものは、ホルモン分泌の減少する原因となる「橋本病」と、ホルモンが過剰に分泌されてしまう「バセドウ病」、ホルモンの分泌は正常であるが甲状腺に瘤を作る甲状腺腫瘍が代表的疾患。橋本病によるホルモンの減少は、チラ-ヂンS錠補充により健康に生活できる。バセドウ病の治療は妊娠初期を除き、メルカゾ-ル15mg(3錠)/日で開始する。その後血液の結果をみながら漸減し、数年後には3分2の方は治癒して薬の中止が可能となる。しかし、バセドウ病の場合、治療後3か月間は無顆粒球症(0.3%)、皮疹(6.6%)、肝障害(3.5%)などの副作用の検査を2週毎に行う。副作用が出現した場合は、妊婦・授乳婦・18歳未満を除き、放射線ヨードを外来で内服するアイソトープ治療を行う。手術はアイソトープ治療の適応にならない症例か、希望しない症例は適応となる。
いずれにしても重篤になると、意識障害や心不全を起こすこともあるため、早めに適切な治療を受けることが大切であるとともに、どの治療も開始ないし変更する場合には、患者との話し合いや、インフォームドコンセントが重要となる。

診療を受けるには

診療時間は、月曜・火曜・木曜・金曜:8:20~12:00 と 14:20~16:00。水曜の午前:8:20~12:00 午後休診。土曜の午前:7:50~12:00 午後休診。日曜・祝日休診。
診療時間や予約などの詳細につきましては、クリニックのホームページ「診療時間のご案内」を参照。

累積症例数または患者数

44,472例 (40%が橋本病、25%がバセドウ病、20%が良性腫瘍性結節、5%が悪性腫瘍、1.3%が亜急性甲状腺炎、等々)
※1994年2月から2024年5月19日までの新患で受けた患者の累積人数

年間症例数

24,116例

医師のプロフィール

経歴
1984年~1985年 トロント大学病理Kovacs教授留学(動物実験はハーバード大学病理ボストンで行う)
1991年8月 札幌医科大学第一内科 助教授
1994年2月 上條内科クリニック(甲状腺疾患専門内科)開設
1995年10月 (有)上條甲状腺研究所設立
2005年 日本甲状腺学会専門医施設(上條内科クリニック)
2012年9月 上條甲状腺クリニックへ名称変更
所属学会・認定・資格

日本甲状腺学会専門医、米国内分泌学会(Active member)、日本内分泌病理学会名誉会員、日本甲状腺学会功労評議員、日本内分泌学会功労評議員

[学会会長]
2007年10月 第11回日本内分泌病理学会会長(札幌)

[学会役員]
バセドウ病治療ガイドライン2006作成委員
バセドウ病131-I内用療法手引き作成委員
バセドウ病治療ガイドライン2011作成委員
甲状腺腫瘍診療ガイドライン作成委員
臨床重要課題「日本人のヨウ素栄養状態の全国実態調査と甲状腺疾患との関係」作成委員

[日本甲状腺学会演題選定委員]
第55回日本甲状腺学会(福岡)・第54日本甲状腺学会(大阪)・第53回日本甲状腺学会(長崎)第52回日本甲状腺学会・第51回日本甲状腺学会・第50回日本甲状腺学会(神戸)・第49回日本甲状腺学会・第47回日本甲状腺学会(前橋11月)・第46回日本甲状腺学会(名古屋11月)・第45回日本甲状腺学会(浜松11月会長)など

[米国内分泌学会演題選定委員]
2013年米国内分泌学会(サンフランシスコ)・2014年米国内分泌学会(シカゴ)

主な著書(編集・共著含む)

『上條内科クリニックの甲状腺疾患ガイド』((有)上條甲状腺研究所)
『良く分かる甲状腺』 ((有)上條甲状腺研究所)
『上條甲状腺クリニックの甲状腺疾患 Q & A』((有)上條甲状腺研究所)

【Thyroid掲載論文】
1. Kamijo K, Murayama H, Uzu T, Togashi K, Olivo PD, Kahaly GJ: Similar Clinical Performance of a Novel Chimeric Thyroid-Stimulating Hormone Receptor Bioassay and an Automated Thyroid-Stimulating Hormone Receptor Binding Assay in Graves’ Disease. Thyroid 2011; 21: 1295-1299
2. Kamijo K, Murayama H, Uzu T, Togashi K, Kahaly GJ: A novel bioreporter assay for thyrotropin receptor antibodies using a chimeric thyrotropin receptor (mc4) is more useful in differentiation of graves' disease from painless thyroiditis than conventional thyrotropin-stimulating antibody assay using porcine thyroid cells. Thyroid 2010; 20: 851-856.
3. Kamijo K: Lingual thyroid associated with Graves’ disease and Graves’ ophthalmopathy. Thyroid 2005; 15: 1407-1408.

【主たる講演】
2005年10月 第13回国際甲状腺学会 (ブエノスアイレス) シンポジウム「TSH受容体抗体」
2007年11月 第50回日本甲状腺学会(神戸) シンポジウム「妊娠と甲状腺」
2009年3月 第19回臨床内分泌代謝Update(東京) ミートザスペシャリスト「甲状腺」
2010年9月 第14国際甲状腺学会(パリ) ミートザエクスパート「TSH受容体抗体」
2010年10月 第14会日本内分泌病理学会(京都) ミートザスペシャリスト「甲状腺疾患診療update」

予防に心がけたいこと

バセドウ病は喫煙が発病・悪化・再発・眼球突出などの甲状腺眼症のリスク因子であることが明らかになっているため、バセドウ病患者は喫煙してはいけない。また身内の不幸、ショック、環境の変化などのストレスが発症・悪化・再発のリスクとなるため、上手に対処することが重要である。
治療後ホルモン値が正常になるまでは過激な運動、抜歯、麻酔、ストレスのかかる臨床検査などは、バセドウ病が悪化する可能性があるので避けることが大切。橋本病は食事でヨードの過剰摂取は避けること。ワカメ、ノリ、寒天などは制限する必要はないが、昆布は週7日のうち1~2日は控えたほうがよい。
以下のような自覚症状を覚えておき、早めの治療が大切となる。
バセドウ病の主な症状:疲れやすい(90%)、体がだるい(81%)、動悸(脈が速くなる)(80%)、多汗(77%)、手のふるえ(73%)、やせ(63%)、精神的なイライラ(58%)、不眠(54%)、むくみ(45%)、排便回数増加・軟便・下痢(41%)、生理の減少(22%)、脱毛(23%)、眼球突出(10%)など。

橋本病によりホルモンが減少した場合の主な症状:体のだるさ(83%)、寒さに弱い(80%)、食べてないのに太る(73%)、記憶力の低下(70%)、皮膚乾燥(70%)、しゃべり方や動作が緩慢(68&)、筋力低下(65%)、意欲の低下(64%)、体温低下(59%)、顔や足のむくみ(59%)、便秘(57%)、声嗄れ(58%)、息切れ(53%)、聴力低下(52%)、全身のしびれ(49%)、筋肉痛(48%)、関節痛(38%)、月経過多(33%)、など。

費用のめやす

初診の検査は3割負担で1万円弱