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三浦一樹 医師 (みうらかずき)

三浦一樹 (みうらかずき) 医師

外旭川サテライトクリニック(秋田県)1病院のクチコミ
内科
外旭川病院 名誉院長

専門

慢性疲労症候群(CFS)、呼吸器疾患(睡眠時無呼吸症候群など)、ホスピス医療

医師の紹介

三浦一樹医師は東北一円で唯一、慢性疲労の鑑別診断と診療を行っている外旭川サテライトクリニックで、慢性疲労外来を担当。今のところCFSに特異的な検査方法は確立されていないため、診療経験豊富な三浦医師の臨床的総合的判断で診断が行われる。引きこもり・不登校問題に重点を置く小児科と連携して、子供の慢性疲労についても対応。名誉院長を務める外旭川病院では、睡眠時無呼吸外来での診療とともにホスピス医療にも従事。終末期にある患者及び家族のクオリティーオブライフ(QOL)の向上に努めている。

診療内容

疲労感、全身倦怠感は誰でも経験する不快な感覚であるが、痛みや発熱と同様に極めて重要な警告信号でもある。また、長く続く異様な疲労を我慢したり見過ごしたりして放置しておくと、病状が急激に悪化し、回復しがたい病態に陥ることがある。診療科別の縦割り診療が一般化した現代医療環境では、臓器特異的な疾患には対応しやすいが、多科領域にわたる訴えである疲労、全身倦怠感を横断的、総合的、全人的に診察することが難しい。
慢性疲労の診療にあたって一番重要なのは、疲労感を生じさせる種々の疾患の鑑別診断である。器質的疾患や精神病に起因する慢性疲労の場合、それぞれの疾患の治療が優先される。この場合、薬物などで疲労感だけを改善させるのというのはむしろ危険な考え方である。
「残念ながら疲労の原因究明は必ずしも容易ではなく、むしろ特定できないことも多いのです。しかし原因がわからないから病気ではないなどというのではなく、慢性疲労、全身倦怠感に悩む患者の苦しみを少しでも和らげようとする医療が必要になります」と三浦医師は話す。
なかなか回復できない慢性疲労に主眼をおいた診療を専門とする医師は、全国的にも非常に少なく、なかでも診断が難しい疾患である慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome:CFS)は、どこの医療機関においても適切に対応されていないのが現状である。三浦医師は、外旭川サテライトクリニックにおいて、東北一円では唯一の慢性疲労外来を担当し、慢性疲労の原因疾患の鑑別とCFSの診断及び治療を実施。外旭川サテライトクリニックでは精神科診療もなされており、慢性疲労に関連する精神・心理的状況にも対応している。また、引きこもり・不登校問題に重点を置く小児科診療を通じて、子供の慢性疲労についても連携して対応している。
「一般に、慢性の疲労の多くは、十分に休息をとり、ストレスや睡眠障害など疲労を悪化させる要因が取り除かれれば自然に回復します。しかし、どんなに休養しても疲労感がよくならず、しかも疲労の原因が特定できない慢性的疲労の場合は、CFSという特殊な疾患を疑う必要があります。今のところCFSに特異的な検査方法は確立されていないため、診療経験のある医師の臨床的総合的判断で診断することになります」
慢性疲労外来におけるCFSの診断は、2007年の日本疲労学会慢性疲労症候群診断指針を改定した“2012年改定慢性疲労症候群(CFS)診断基準(厚生労働省研究班)”に準拠して行っている。三浦医師は、この診断基準を以下のように説明する。
「CFSの確定診断には、以下の3つの前提を満たす必要があります。この考え方は2007年の診断指針と基本的に同じです。
[前提I]ほかの疾患による疲労との鑑別のための前提です。病歴、身体診察、臨床検査を精確に行って慢性疲労をきたす他の器質的疾患・病態を除外する必要があります。除外することが難しい場合には、ひとまず経過観察としておきます。また、CFSには併存する疾患があり得ることを認めています。その“併存疾患”あるからといってCFSではないとはしません。“併存疾患”としているのは1)気分障害(精神病性うつ病、双極性障害は除きます)、2)身体表現性障害、3)不安障害です。「併存疾患」を持つかどうかで臨床病型を区別しています(下記)。他の病気のために服用しているお薬に関連する疲労や肥満の影響も考慮する必要があります。
[前提II]CFSに特異的な疲労であるかどうかの判断です。診断のためには下記の4項目すべてが当てはまっている必要があります。上記前提Iの検索でも慢性疲労の原因が不明で、かつ 1)全身倦怠感は新しく発症したものであり急激に始まった、2)十分休養をとっても回復しない、3)現在行っている仕事や生活習慣のせいではない、4)日常の生活活動が発症前に比べて50%以下になっている、あるいは疲労感のため月に数日は社会生活や仕事ができず休んでいる、の4つです。
[前提III]CFSの慢性疲労と随伴する特有の様々な自他覚的症状所見の確認です。「自覚症状」というのは1)労作後疲労感(労作後休んでも24時間以上続く)、2)筋肉痛、3)多発性関節痛(腫脹はない)、4)頭痛、5)咽頭痛、6)睡眠障害(不眠、過眠、睡眠相遅延)、7)思考力・集中力低下のことです。「他覚所見」とは8)微熱、9)頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合)、10)筋力低下のことです。これは自分自身で判断するのではなく医師が少なくとも1ヵ月以上の間隔をおいて2回以上確認できた場合をいいます。以上の自覚症状と他覚的所見10項目のうち5項目以上を有することが診断の前提です。
この前提I、II、IIIをすべて満たすときに臨床的CFSと診断されます。ただし何らかの感染後に発症したことが明らかな場合は、感染後CFSと診断します。さらに、上に記載したように“併存疾患”の有無によって、CFSの臨床病型を次のように3群に分類します。A群:併存疾患(病態)を持たないCFS、B群:経過中に併存疾患(病態)を持つようになったCFS、C群:最初の診断時から併存疾患(病態)を持っていたCFS の3つの臨床病型分類です。なお、診察、診断時点で前提I、II、IIIに合致していない場合も、原因不明の慢性疲労を訴えるのであれば、合致しないからCFSではないとせずに、特発性慢性疲労(Idiopathic Chronic Fatigue: ICF)と診断して経過観察する必要があるとしています。前提IIIの自覚症状、他覚所見のみで自己診断したりせず、確実に医師の診断を受けることが肝要です」

慢性疲労外来での検査…器質的疾患を除外するための一般的臨床検査に加えて、疲労の原因究明や病状把握を目的に、必要に応じて各種ホルモン検査、ケトン体検査、カテコラミン検査、ウイルス・リケッチア抗体検査、病原菌検査、NK細胞活性検査などを施行している。また、ホルター型24時間心電計のRR間隔データからMEM法を用いた計測で自律神経機能検査を行ったり、アクチウオッチによる睡眠障害や活動時間軸のずれなどの検索も実施したりしている。睡眠時無呼吸症候群に伴う疲労を鑑別するため、簡易型終夜睡眠検査も行い病状の把握に努めている。
慢性疲労外来での治療…同外来では、疾患の原因が明確でないことが多いことから、治療は対症的治療あるいは体調改善治療が主となる。慢性疲労に随伴する各種の症状、症候あるいは証に合わせて治療を行う。
1)薬剤療法:1.漢方薬、2.ビタミン薬、3.睡眠誘導薬、4.抗うつ薬(病状による)、5.心血管作動薬(血圧低下にα作動薬、頻脈にβ阻害薬など)、6.鎮痛薬、7.線維筋痛症併存時薬物治療、(リリカ(Rマーク)、トラムセット(Rマーク)など)、8.眩暈薬、等。
2)物療的治療:1.温熱療法(入浴指導、温熱治療など)、2.呼吸法指導(自律神経機能調整)、3.高気圧カプセルを用いた体調調整(非医療行為)、4.高照度光療法(非保険治療)
3)精神的治療(当院精神科、小児科と共同診療):1.精神科診察、2.カウンセリング
なお、三浦医師の治療には、紹介状、お薬手帳、他施設での検査結果などの参考になるものを持参することが望ましい。

診療を受けるには

紹介状あれば持参(持参することが望ましい)。三浦医師の診療は、慢性疲労外来 火曜・午後(外旭川サテライトクリニック)

累積症例数または患者数

慢性疲労外来受診患者200名弱(2011年年6月慢性疲労外来開設以降)。うち慢性疲労症候群患者10名、特発性慢性疲労患者30名程度。その他は他疾患に伴う慢性疲労患者。

年間症例数

上記と同じ

医師のプロフィール

経歴
1976年3月 東北大学医学部 卒業
1976年4月 明和会中通総合病院
1979年3月 秋田大学第二内科
1991年7月 マクマスター大学病理学教室
1995年1月 能代山本医師会病院院長
1998年5月 秋田赤十字病院内科部長
2011年6月 外旭川病院名誉院長
所属学会・認定・資格

日本内科学会認定内科医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会専門医、日本感染症学会感染症専門医・ICD、日本老年医学会、日本疲労学会評議員

予防に心がけたいこと

発症に至る経過を逆にたどることができれば、それは予防につながると思います。慢性疲労症候群は、単一の原因、要因に起因するものではなく、多重的な制御障害によるものと考えられています(ME/CFS: A Primer for Clinical Practitioners 2012 Edition参照)。まず性格を含めた「素因」は非常に重要です。そして発症に至るには何らかのきっかけがありそうです。一つには1)急性・慢性感染症感染あるいは潜在性感染症が考えられます。そして、2)アレルギーやアトピーと同様に、環境に由来する生体防衛機能を障害する何らかの外因性物質との関連性です。また、3)家族や周囲、職場の人間関係の破綻にともなう重大な心的/身体的トラウマが底辺にあると、発症しやすくさらには治りにくい要因となっているようです。
1)の感染対策については、ありふれたことですが必要な予防接種はきちんと受け、不規則、不健康な生活習慣を改め、常識的な食生活を心がけることにより感染を予防することが、ある程度可能です。またもし感染したとしても軽症で治癒する体力を維持することはできます。疲労を考えるうえで食事と腸・脳の関係は特に重要です。
2)環境に由来する生体に悪影響を及ぼすものについては、ほとんど気付いていないものがあります。これについては一般書の「免疫の反逆(ドナ・ジャクソン・ナカガワ著)」が参考になると思います。今や疲労を含めた健康問題は社会問題、環境問題でもあります.
3)不健全な人間関係がもたらす健康被害については「身体が「ノー」と言うとき(ガボール マテ著)」に詳しく述べられています。これらは一般に内因性、外因性のストレスといってよいものです。慢性疲労全般にいえることですが、発症以前の日常生活の中に、いろいろの問題が潜んでいることをきちん理解しておくことが必要です。疲労だけを取り出して予防するとか治療するということではありません。常に健康に注意することは大切なことです。体調の管理に無頓着であったり、体調不良を無視してしまったりとのは非常に危険です。しかし、過剰に健康の心配をしたりすることは好ましくないようです。楽しいと思える日常生活を心がけるのが一番の予防といえるかと思います。(三浦医師)

費用のめやす

初診時検査料(保険診療内):自己負担分1万5,000円程度(3割負担)