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腰椎椎間板ヘルニア 薬物療法は中枢神経をコントロールする薬へ。 手術療法は超低侵襲のPEDに注目!

-椎間板の中身が飛び出し、腰椎の神経を圧迫する病気

腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛を引き起こす疾患の代表格。日本人の約1%、120万人の患者がいると言われている。椎間板は背骨の骨をつなぐ軟骨で、そのなかにあるゼラチン状の髄核(ずいかく)が背側に飛び出し、痛みやしびれを引き起こすのが椎間板ヘルニアだ。
「発症しやすい年齢は20~50歳代。腰を酷使する職業の方はなりやすいようです。また激しいスポーツをしている場合は、10代でもなります。20歳を過ぎると椎間板は加齢現象で衰え、水分が少なくなるため、中身である髄核が外に出やすくなる。その際、前に出っ張るのは問題ないんですが後ろのほうに出っ張ると、神経を圧迫してものすごい痛みになるんですね」
と出沢明医師(帝京大学医学部付属溝口病院副院長補佐・整形外科科長)は語る。


診断は問診、SLRテスト(仰向けに寝た状態で足を上げ、痛みの有無や、痛みを感じる部位を診る)、MRIの画像検査等によって行う。むずかしいのは、椎間板の出っ張り具合が、必ずしも痛みの強弱と比例するわけではないことだ。
「痛みは複雑な要因が絡み合って起こるので、出っ張りはそれほどでなくても、強い痛みが慢性的に続いている患者さんもいます。なかには精神的な問題がかかわっているケースが多々あり、そういう患者さんのために、腰痛の薬として抗うつ薬が処方されることもあるんですよ」(出沢明医師)

-中枢神経に作用する薬など新薬が次々と登場

また昔は、安静にしているように・・・・と指導するのがふつうでしたが、今は強い痛みが治まった後は、出来るだけ運動したほうがいいと指導しています。プールで歩行するなど徐々に身体をなじませて、それからストレッチや腰痛体操などを始めていただきます。


「薬物療法では、以前は消炎鎮痛剤が主流でしたが、これからは痛みを中枢神経からコントロールする薬が次々と出て、使われるようになると思われます。リリカという薬が去年出て、今年はタラモナールという薬が出てきます。アメリカのほうでは既にだいぶ使われている薬です。神経と神経の間にあるシナプスをコントロールして痛みを抑える薬で、効く人にはてきめんに効きますよ。あとは準麻薬のようなオピロイドという薬も出てきました。かつてはがんにしか使えない薬でしたが、量をきちんとコントロールして、服用を止めるタイミングを誤らなければ問題はありません」(出沢明医師)

-8ミリの傷、局所麻酔で行う PEDは1日の入院で治す

 治療において手術が適応されるのは、次のような場合だ。

  • 保存的治療を3ヶ月間行っても痛み、痺れ、筋力低下が改善されず、日常生活に支障がある
  • 我慢できない強い痛みのために日常生活が著しく制限される
  • 尿意がわからなくなって失禁したり、肛門が痺れて締りがなくなった

手術療法は、ヘルニアを直接切除する手術と、間接的にへこませる手術の2つに大別されるが、後者について出沢医師は、
「椎間板ヘルニアのレーザー治療は殆ど効果が認められている手技ではありません。多くの方がレーザー治療に高額のお金を支払い改善されずに外来にこられていますがレーザーという響きで治療を受けられている方に警鐘をならします」と、ブログにつづっている。


そんな出沢医師が進めるのは、直接切除する手術の1つ、内視鏡による腰椎椎間板ヘルニア摘出術だ。
「MED(メド:内視鏡腰椎椎間板摘出術)とPED(ペド:;経皮的内視鏡腰椎椎間板ヘルニア摘出術)という2つの手術法があります。MEDは全身麻酔をかけ16mmの傷から内視鏡等の道具によって行う手術です。入院日数は7日前後。PEDには向かない、腰部脊柱管狭窄症のように脊髄や馬尾の神経が圧迫狭窄されている場合におきる椎間板ヘルニアの摘出が可能です。一方PEDは傷の長さがMEDの半分。面積は1/4の大きさのなかで行うことが出来ます。非常に狭い所に入ってヘルニアを除去したり、局所麻酔で行う事ができるので、入院日数が1日で済みます。また局所の痛みが少ないため、早めの社会復帰も可能です。最速2,3日で復帰している方もいます」(出沢明医師)


ちなみにPEDは、日本では出沢医師が2003年に導入し、もっか普及と改良を進めている。PEDならば、寝返りさえも困難だった患者が、局所麻酔で医師と会話しながら手術を受け、その3時間後には痛みから解放されて歩行することが可能なのだ。さらに再発率が低いのもPEDの特徴だ。
「椎間板ヘルニアは手術をしても5~10%は再発します。というのも椎間板には再生能力がないので、手術をした痕はふさがりません。穴が開いている状態のままなので、髄核が再び飛び出してきてしまうのです。PEDなら穴も小さいので、再発率も当然減ってきます」(出沢明医師)


とはいえ高度な技術を要するので、出来るようになるまでには長時間の訓練が必要だ。そのため日本では、安心してPEDが受けられる施設はまだ6箇所しかないという。今後の普及が望まれる。

(2013.7.10.)


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出沢 明先生(医師情報)

出沢明PEDセンター 院長
1980年千葉大学医学部卒業。国立横浜東病院整形外科医長、千葉市療育センター通園センター所長、帝京大学医学部整形外科講師、帝京大学溝口病院整形外科助教授を経て、 2004年から同大学教授、整形外科科長。2005年より同病院副院長補佐。2014年 出沢明PEDセンター開業
専門分野は、脊椎・脊髄外科、股関節外科、電気生理学、最小手術侵襲。2003年に低侵襲を極める経皮的内視鏡腰椎椎間板ヘルニア摘出術=PEDを導入、高い治療実績をあげている。またPED研究会を立ち上げ、研究・普及活動にも努めている。