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性更年期障害 早期に生活改善をスタート!

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いつまでも若々しく、現役でバリバリ活躍したいと思うのは誰もが同じ。しかし、年齢を重ねるごとに、体力的にも気分的にも、若いころのようには行かないと痛感することが増えていないだろうか。残念ながら、体力は年齢とともに低下していき、男らしさも失われていく。中高年の男性が衰えを防ぎ、活力ある毎日を送るためにはどうすればいいのか?男性のアンチエイジングについて、メンズヘルス研究の第一人者、堀江重郎医師に聞いた。

― 男性にも更年期障害があると聞きましたが、どんな症状がでるのでしょうか?

男性更年期障害は中高年の身体、精神、男性機能の変調をきたすもので、やる気が出ない、ほてり、発汗、勃起不全(ED)などのさまざまな症状があります。大きな原因の一つに「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群) 」という疾患があります。女性ホルモンが女性の元気の源であるように、男性ホルモンは、男性の活力源です。男性ホルモンの「テストステロン(※1)」は性機能を保ち、筋肉や骨などを作ることが知られていますが、脂質代謝や血管の弾力性、認知能力などを高める働きもあります。そのテストステロンが深く関わっているのです。テストステロンが最も盛んなのは20代で、その後、徐々に少なくなっていきます。ただし、少なくなり始める年齢や減少のスピードには個人差があり、80代でも30代並みという人もいれば、40代でも70歳程度という人もいます。テストステロンの減少は、やる気の減退やうつ症状、筋肉痛、心筋梗塞や脳梗塞リスクの上昇などさまざまな不調に関わっています。


※1) テストステロンとは、血液検査によるテストステロンの血中濃度を測定したものです。テストステロン値は、総テストステロン値とフリーテストステロン値の2種類があります。テストステロン値が、350 ng/dL以下が国際的にLOH症候群の基準となっています。テストステロン値が正常でも更年期症状が強い場合、また肥満の場合にはフリーテストステロン値を測定します。フリーテストステロン値が8.5pg/ml以下の場合は、LOH症候群の可能性が高くなります。
【テストステロン血液検査の測定からわかる病気】:男性更年期障害、性機能不全、自閉症、多毛症、前立腺がん、認知症、うつ病

LOH症候群(男性更年期障害)は、体・心・性の3つに影響を与えます。体力面では筋力が低下して、ちょっとした運動で筋肉痛になったり、疲労を感じたりします。また、ほてり・発汗・頭痛・めまいなども代表的な症状です。テストステロンが減少すると内臓脂肪が増えることも解明されていて、メタボリックシンドロームのリスクも高くなります。テストステロンにはネガティブな感情を抑える働きがあり、不足すると自分の健康や将来に不安を感じたり、ささいなことでイライラしたりすることが多くなります。沈んだ気分や不眠、集中力や記憶力の低下などもよく見られます。性に関わることでは、EDや朝立ちの消失、性欲の減退、頻尿にもつながっています。

―テストステロンの減少を抑えるにはどうすればよいのですか?

近年、泌尿器科には「メンズヘルス外来(※1)」を設けている病院があります。 メンズヘルス外来で、テストステロン値を測ってもらえます。

テストステロン値を測定してみると、朝に高く、夕方に低くなる傾向があります。つまり、寝ている間に回復しているのです。このため、まずはよく眠ることが大切です。実際、睡眠時間が短い人はテストステロン値が低いという研究もあります。質の良い睡眠を取ることで、体にテストステロンが回復する時間を与えることができ、疲労やストレスが解消されればテストステロン値が高くなります。男性ホルモンの値が高い男性は長生きで、病気をしても悪性化しにくいと言われます。

(※1)順天堂医院のメンズヘルス外来では、初診時にホルモン検査を行い、下図(図1)のAMS質問票でライフスタイルや男性更年期に関する症状の有無、EDや排尿障害、睡眠の状況などを確認し、血液検査を行っています。

AMS質問票
図1:AMS質問票

― 食生活で気をつけることはありますか?

アミノ酸バランスが優れた質の良いたんぱく質をしっかり摂るようにしましょう。具体的な食材は、卵、牛肉、豚肉、鶏肉、魚、豆類、種子類などです。ただし、肉類と一緒に脂質を摂り過ぎないこと。また、テストステロンが作られる精巣(睾丸)は酸化に弱いので、タマネギやニンニクなど抗酸化作用の強い食品も積極的に食べるとよいでしょう。カキなど亜鉛が豊富な食材もおすすめです。

― 運動はどうでしょうか。

運動で筋肉に刺激を与えると、テストステロン値が高くなることが確認されています。ある運動教室で高齢者のテストステロンを測定したところ、値が増える効果が確認できました。運動することで脂肪が減り筋肉も強化され、男性ホルモンを維持するために役立つので、ぜひ日常生活のなかに体を動かす習慣を取り入れてください。運動と言うとウォーキングなどの有酸素運動をイメージしがちですが、ダンベル体操やスクワット、腕立て伏せや腹筋といったレジスタンス運動、つまり無酸素運動も併せて行うことで筋肉の維持や強化に効果が期待できます。

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