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不妊の原因因子の半分は男性側。あきらめずにまずは検査を。


不妊症に悩むカップルは6組に1組。ここ十数年の間に、生殖医療は目覚ましいスピードで進歩している。その一方、不妊の原因因子の半分は男性側にあるにもかかわらず、子どもができない原因が女性側にあるという誤解や思いこみで、女性だけに治療の負担を負わせ、最終的にあきらめるケースも少なくない。「男性不妊」の現状や最新の治療について、リプロダクションクリニック大阪の石川智基(いしかわとももと)CEOに聞いた。

-男性不妊症の患者数は増えていますか。

さまざまなメディアで男性不妊症が取り上げられるようになり、私が診療する男性不妊症の患者も非常に増えています。以前は10組に1組の夫婦が悩んでいると言われていたのですが、8組になり、最近では6組に1組と言われています。晩婚化が大きな要因の一つです。

―男性不妊症の主な原因はなんですか。

精子に何らかの異常があり、精子の数が少ない「乏精子症(ぼうせいし)」と、精子が全く出ない「無精子症」に分けられます。原因は、停留精巣などの手術や化学療法、放射線療法の治療歴がある場合のほか、おたふくかぜを起こすムンプス・ウイルスによる精巣炎の既往歴などさまざまなことが考えられます。精液検査で、精子の運動率やまっすぐに進む率、高速で動く率などをみて、総合的に判断した結果、精液1ml中の精子の数が1500万個を下回る状態を乏精子症といいます。ちなみに自然妊娠するには精液1ml中4000万個以上、総運動率50%以上の精子が望ましいとされます。精子の異常には、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)のほか、造精機能障害などがありますが、原因不明も多いのが現状です。

―精索静脈瘤について教えてください。

石川智基医師

「精索静脈瘤」は、精巣からの静脈の血液が滞り、こぶのようなものができる病気で、不妊男性の3~4割程度に見られます。精子をつくる環境は体温より少し低め34~35℃が理想ですが、精索静脈瘤があると、血液が流れにくくなることで陰嚢があたためられ、精子がつくられにくくなります。また、静脈瘤によって腎静脈から血液が逆流するので、精巣に酸化ストレスも加わります。
治療は、手術が基本です。静脈瘤が出来ている血管をしばり、血液の逆流を止めます。術後、精巣内の温度が下がってくるので精子が造られやすくなります。私は、精索静脈瘤を見つけたら、できるだけ早く静脈を結紮(けっさつ)する手術を受けるように勧めます。治療によっては7割の確率で改善する可能性があるからです。精索静脈瘤の治療は健康保険が適用されるので自己負担は4~5万円程度です。

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