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呼吸器感染症

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薬が開発されては新たな耐性菌が出現する…人と細菌とのいたちごっこは、感染症の宿命だ。呼吸器感染症に関しても、肺炎球菌や結核菌における耐性菌の存在が大きな問題となっている。呼吸器感染症のエキスパートである公益財団法人結核予防会複十字病院院長の後藤元医師に、呼吸器感染症の現在の動向についてお聞きした。

――先生の専門は呼吸器感染症ということですが、この領域における現在の課題は何でしょう。

呼吸器感染症において問題になっているのは、薬剤耐性をもつ細菌の増加です。

肺炎は今まで人類をもっとも多く死に追いやってきた病気の一つで、今なお疎かにすることはできません。日本人の死亡原因で2011年には3位にランクインしています。中でも肺炎球菌がその筆頭といえる原因菌ですが、肺炎球菌にも薬剤耐性をもつものが確認されています。肺炎球菌に対する特効薬であったペニシリンが効きにくくなってきた、これは大きな問題です。

マイコプラズマ肺炎も同様で、特効薬だったマクロライドが効きにくい耐性菌が出てきています。インフルエンザ菌においても、βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(BLNAR)インフルエンザ菌が問題になっています。

緑膿菌を原因とする緑膿菌肺炎は、免疫が低下した人に起こる代表的な肺炎ですが、普通の緑膿菌肺炎に効果を発揮するはずのカルバペネムが効かない、ストレプトマイシンやゲンタマイシン、カナマイシンなどのアミノ配糖体も、一番よく使われているキノロンも、すべて効かない緑膿菌が出現しています。このように、多剤耐性で治療に難渋する感染症がますます増える可能性があります。

しかも、耐性菌は増えているのに、新しい抗菌薬が殆ど開発されていないのです。新しい薬が出ないのに、菌の耐性化は進んでいます。

呼吸器感染症

――肺炎球菌については、ワクチンの定期接種がスタートしています。今後、肺炎球菌肺炎は減るのか、効果についてはいかがでしょうか。

インフルエンザのワクチンを接種しても、型が違うインフルエンザウイルスに感染して発症することがあります。肺炎球菌も同じで、ワクチンを接種したからといって、すべての血清型に効くわけではありません。

しかし、そうはいっても、100種類ほど存在する肺炎球菌の血清型のうち、感染する頻度の高いものと低いものがあります。現在、接種可能な肺炎球菌ワクチンには23価ワクチンと13価ワクチンの2つがありますが、例えば23価ワクチンを接種しておけば、8割程度の肺炎球菌の感染を抑えることができると言われています。

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