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前立腺がん

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このところ前立腺がんが急増し、話題になっている。国立がん研究センターの「がん統計予測」によると、新たに診断されるがんのうち、前立腺がんは、2014年の3位から、2015年にはトップとなった。前立腺がんは元々高齢になるにつれて多くなるが、患者が増えている原因は高齢化だけではない。なぜ増えているのか、どのような人がなりやすいのか、前立腺がんのエキスパートである東京慈恵会医科大学附属病院 泌尿器科 診療部長の頴川晋医師に聞いた。

――最近、なぜ前立腺がんは増えているのでしょうか。

前立腺がんが急増している背景にはさまざまな要因が重なり合っており、実は原因がはっきりとわかっていません。前立腺がんは年齢の高い人に増える病気なので、高齢化が第1の原因と言われますが、前立腺がんを発見するための「PSA検査(前立腺がんを早期発見するためのスクリーニング検査)」の普及により、発見率が高まったとも言われています。

――現代の食生活などからの影響もあるのでしょうか。

前立腺がんの発生原因は、先にお話した「高齢化」「検査を受けて発見する人が増えた」などが有力ですが、私自身、かつて食生活はそれほど関係ないだろうと思っていました。なぜなら、”がん”は、病院で見つかる5~10年前に発生するからです。前立腺がんが発見される平均年齢は72歳。食生活がいくら欧米化したといっても、現在70歳前後の人が、10年前にファーストフードを好んで食べていたとは思えないからです。

ところが、最近の研究で、30年前に比べると、”がん”が大きくなり、発生頻度も高くなっていることがわかりました。前立腺がんは特殊ながんで、他の原因で命を落としたのに、ご遺体を解剖した時にがんが見つかる「ラテントがん」が多く見られます。30年前の当院のデータと、2010年前後の3年間のデータを比較してみると、同じようにラテントがんで亡くなった方でも、がんが大きくなっていることがわかりました。加えて、がんの頻度も増加していたのです。このように、高齢化だけでは説明できない、何かが起こっているのだと思われます。それが食生活によるものなのか、別の原因なのか、厳密には断定できず、状況証拠しかないのが現状です。

――前立腺がんは遺伝しますか。

遺伝についてはさまざまな調査があります。確かに、前立腺がんに関係する遺伝子は存在しますが、「この遺伝子があると、必ず前立腺がんになる」というほどの遺伝子はまだ見つかっていません。でも、一親等(父、息子)、二親等(祖父、兄弟、孫)にあたる人が前立腺がんであれば、他の人よりがんになる可能性が2~3倍も高くなるため、一般的には、遺伝するといわれています。

ただし、純粋に遺伝だけとは言い切れない側面もあり、父親が前立腺がんであれば、子どもは「自分もなるのではないか」と注意するので、検査を受ける人が多く、結果として前立腺がんが見つかるというわけです。父親が前立腺がんだと、必ず子どもも前立腺がんになると断定できませんが、2~3倍がんになりやすいといわれます。

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