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乳がん

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近年、増え続けている乳がん。2015年9月にタレントの北斗晶さんが乳がんで右乳房全摘出手術を受け、闘病中。また、女優の生稲晃子さんも2011年に乳がんを発症し、2度の再発を経験したことを告白。今や日本人の12人に1人が乳がんと診断されている。
治療では、切除した乳房を再建する手術(乳房再建手術)の技術が急速に進歩し、公的医療保険も使えるようになったことから、乳房を無理して温存せず、インプラントを挿入し乳房を再建する、という方向へ大きく流れが変わってきた。昭和大学病院ブレストセンター長の中村清吾医師に、乳がん治療の現状についてお聞きした。

― 乳がん検診のマンモグラフィで乳がんを発見できないことがあるのでしょうか。現在の乳がん検査の動向について教えてください。

マンモグラフィは、触ってもわからない小さな乳がんを発見するのに適した検査です。しかし、マンモグラフィで検査しても、乳腺としこりの区別が困難な場合があります。高密度乳房(デンスブレスト;dense breast)といって、乳腺の密度が高く、マンモグラフィ画像で乳房組織が白く見えるためにしこりを発見しにくい状態です。デンスブレストの人が多いアジア人は、マンモグラフィでがんを発見することが難しいので、マンモグラフィだけ受ければ安心とはなりません。

かといって、超音波検査だけでも不十分です。超音波検査は、小さなしこりを見つけるのに適していますが、石灰化(石灰化とは、カルシウムが沈着した状態)が抽出できないのが難点です。そのため、日本人の場合はマンモグラフィと、超音波検査を組み合わせた方がよいと思います。

また、自己触診といって、定期的に自分でさわってチェックする方法もあります。自分の乳房の状態を知っておくことは大変よい習慣ですが、自己触診で見つかる程度の大きさであれば、すでに初期ではなくなっている恐れがあります。月1回の自己触診に加えて、やはり定期的な検診は不可欠と考えたほうがよいでしょう。

―現在の手術の方向性について教えて下さい。

乳房すべてを摘出するというのは、女性にとって酷な選択です。しかし、特に乳首の周辺にがんがある場合は、たとえ小さな病変でも、乳首までがんが及んでいる可能性があります。わずかでもリスクがあるなら、温存にこだわらず、乳房を全摘してすべてを再建する方法を選択する人が増えています。

全摘手術後の乳房再建が増える転機になったのは、2013年、人工乳房のインプラントと、人工乳房を挿入する前に乳房の皮膚を拡張させるエキスパンダーという器具に保険適用が認められたことです。それまでは、全摘手術を受ける人のうち約6割の人は、保険が適用される「自家再建」を選んでいました。自費診療でハードルの高かった人工乳房再建が、選択しやすい身近な治療になり、手術の選択肢が増えたのは大きな変化です。

―乳がんのある側を全摘・再建するなら、ついでに両方ともバストアップをという希望もあるのでは?

中村清吾医師

手術していない側の乳房は、年月の経過とともに垂れ下がるのを避けることができません。そのため、せっかく全摘して見栄えのいい乳房を作るなら、「ついでに反対側も大きくしておきたい」と思う人も増えてきました。でも、その場合は自費診療となります。

それに対して、欧米では、手術していない側の乳房再建も保険の範囲内です。もともと豊満な乳房を持つ女性が多いため、「手術していない側の大きな乳房を、手術する側に合わせて小さくしてほしい」という希望で、日本とは大きく異なります。

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