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生活の質を高める低侵襲治療

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生命を左右する悪性の病気ではないが、多くの人が加齢とともに悩む下肢静脈瘤。従来の硬化療法や手術に加え、2011年に波長980nm(ナノメートル)のレーザー治療が、さらに2014年5月には波長1470nmのレーザー治療、高周波治療(ラジオ波)の保険診療が可能となった。現在も治療の進化を続ける下肢静脈瘤について、お茶の水血管外科クリニック院長 広川雅之医師に詳しい話を聞いた。

― 下肢静脈瘤は通常、ふくらはぎの血管が膨れた状態を指しますが、他にはどのようなタイプがあるのでしょうか。

下肢静脈瘤には4つのタイプがあり、足の血管が目立つ状態を総称して下肢静脈瘤と呼んでいます。最もポピュラーなのは、伏在静脈という血管が太くふくれて蛇行する「伏在型」です。この他に、赤紫色の細い血管が皮膚の表面に見える「くもの巣状」タイプ、血管が青く網の目のように広がる「網目状」、伏在静脈から分岐する側枝静脈に瘤ができる「側枝型」があります。各タイプは血管の太さが異なり、くもの巣状は0.1mm、網目状は1~2mm、側枝型2~3mm、一番太い伏在型では4mm以上あります。

― 下肢静脈瘤の患者さんは、全国に何人くらいいるのでしょうか。どのような人に多いかについても教えてください。

下肢静脈瘤の患者数は、「伏在型」が1000万人程度です。さらに、「くもの巣状」のように軽症の人も入れると5000万人という概算が出ています。ただし、1000万人の中で、治療が必要な人はもっと少ないと思われます。

人間は立って歩く動物ですから、足に血がたまって静脈瘤ができるのも無理はありません。中でも、下肢静脈瘤が多いのは女性で、加齢も大きく関係します。60~70歳代の女性であればほとんどの人に静脈瘤があり、ない人が珍しいくらいです。中には男性の患者さんもいます。多くの男性は、女性ほど見た目を気にしませんから、受診する男性の9割方は、「家内に怒られて病院に来ました」と言うのが女性と違いますね。

― ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれます。この言葉と静脈瘤はどう関係しますか。

ふくらはぎには、腓腹筋とヒラメ筋の2種類の筋肉があります。特に大切なのがヒラメ筋です。つま先を上げると、アキレス腱が引っ張られてヒラメ筋が収縮し、心臓に向けてポンプのように静脈血を絞り出す仕組みになっています。この働きを「筋ポンプ作用」、そして静脈血が心臓に戻ることを「静脈還流」と言います。静脈還流を担うのが静脈弁と筋ポンプ作用で、これが第二の心臓と呼ばれる所以です。さらに、呼吸も静脈還流を支える要素の一つで、呼吸によって血液が引き上げられています。これらのうち、いずれかがうまくいかないと静脈還流が悪くなり、静脈瘤になる、あるいは悪化してしまいます。中でも、静脈弁が壊れることが、下肢静脈瘤の大きな原因です。

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