ドクターズガイド

からだ相談Q&A

Q.

性別:女性、年齢:26歳
いつから頭痛がはじまったか:3か月前頃から

1歳のやんちゃな息子がおり、ホントは、病院でよく効く頭痛薬を処方してもらえればいいのですが、子育てや家事でバタバタしていてなかなか病院には行けず、市販薬で間に合わせています。薬っていつも同じものを飲んでいると効かなくなるのでしょうか?たまには、違うメーカにすると良いのでしょうか?

A.

お気持ちも分かるのですが、あなたのような場合には、新たに発現してしまう頭痛、別名”落とし穴頭痛”に十分な注意が必要と考えられます。それは、頭痛を抑えるはずの薬が招く頭痛である『薬剤過剰使用に伴う頭痛(以前は、薬物乱用頭痛と呼ばれていた)』という頭痛です。

この頭痛は、一次性頭痛(他に原因がなく、頭痛自体が病気である頭痛のこと)がある人が、消炎鎮痛薬など急性期治療薬の長期間内服を続け、そのうちにその量も増えていき、薬の飲み過ぎ(使用過多、ひいては乱用)によって逆に、毎日頭痛が起きるような症状の頭痛(落とし穴頭痛;日本に約1000万人とも推定さています。片頭痛の840万人よりも多い)のことです。原因薬剤は、以前の片頭痛治療薬であるエルゴタミン製剤、近年の片頭痛の特異的治療薬であるトリプタン製剤、オピオイド、消炎鎮痛薬などがあります。日本では、OTC(市販薬;複合消炎鎮痛薬)の飲み過ぎが、最も多く、次いで、単一の消炎薬や鎮痛薬(アスピリン、アセトアミノフェン、NSAIDsの全て)と指摘されています。

近年は、市販薬だけでなく、本来、片頭痛の特異的治療薬であるトリプタン製剤での使用過多による頭痛も増えてきております。また、疼痛全般に用いられ始めているオピオイドによる頭痛も見られ始めていることから、日本頭痛学会・頭痛協会などが、注意を喚起しています。

急性期治療薬(エルゴタミン・消炎鎮痛薬・オピオイド・トリプタン製剤)は、あくまでも頓挫薬であり、”飲めば飲むほど良くなっていくことは、決してない”ことを肝に銘じるべき(患者さんも医療者も)と考えます。したがって、片頭痛の治療薬には、予防薬(①頭痛の回数を減らす②頭痛の重症度を下げる③頭痛の持続時間を短くする④急性期治療薬の効果を高める)の併用することが必要となることが多いです。また、頭痛外来を受診し、頭痛ダイアリーをもとに、ご本人のライフスタイルや発作の誘因を見極め、医師ばかりでなく、多職種のコメディカル(頭痛ナース・理学療法士・作業療法士・臨床心理士など)と一緒に診療を受けることが治療の成功につながりやすいと考えます。


(2017.03.17.)

回答:磯部千明医師(医師情報 ⇒)

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