ドクターズガイド

病気を調べる(家庭の医学)

前立腺肥大症

膀胱(ぼうこう)の出口にある前立腺が年齢とともに肥大し、尿道を締め付けるため排尿困難となる病気です。
良性の腫瘍(しゅよう)であり、がんではないので、いくら大きくても排尿がスムーズであれば治療する必要はありません。
60歳を超えるとだんだん前立腺肥大症の症状があらわれてきます。


[症状]
最初は夜間頻尿(第1期)で、夜2~3回排尿のため起きるようになります。
そのうち、残尿がふえてきて、トイレに立ってもなかなか尿が出てこない、出始めても尿に勢いがなくタラタラと垂れてキレがわるいという状態になり、残尿感があり、昼間も頻繁(1時間に1回くらい)にトイレに通うようになります(第2期)。
第3期は尿閉期で、尿がつっかえてほとんど出なくなります。
特に排尿を長時間がまんしたり、大酒後に尿閉となります。

[診断]
下腹部の超音波検査や直腸指診(直腸に指を入れて前立腺をさわること)によります。
前立腺が大きくはれていれば肥大症です。
前立腺がんでは石のようにかたいのですが、肥大症ではゴムまりのように弾性があるので、直腸指診で鑑別できます。
前立腺がんとの鑑別のために血中の腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)を測定します。
PSAが正常(4ng/ml以下)であれば肥大症です。
尿閉のときの救急治療はとりあえず尿道にバルーン・カテーテルを留置し、膀胱にたまった尿を体外に排泄することが肝腎です。
いつまでもためておくと腎不全になります。

[治療]
軽度の前立腺肥大症の場合には薬物療法がよく効きます。
α-ブロッカーという薬は前立腺部分の尿道を広げて排尿をスムーズにさせます。
しかし、α-ブロッカーを服用し続けても、肥大した前立腺は小さくなりません。
いっぽう、α-ブロッカーの服用を中止すれば、1週間くらいで元の状態に戻り、排尿困難が再発します。

薬剤が効かなくなった場合には手術します。
肥大した前立腺を切り取ればよいわけですが、これには開腹する方法と経尿道的前立腺切除術(TUR-P)があります。
TUR-Pは内視鏡を膀胱まで入れて前立腺を電気メスで少しずつ切除する方法です。
最近ではほとんどTUR-Pが主流で、開腹するのは前立腺が100g以上の巨大なものに限られます。
近年、レーザー治療やマイクロ波治療がおこなわれるようになってきましたが、安全で確実なのはやはりTUR-Pです。